里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

オサシダ 岩壁に着生

2017-11-18 | 日記

栗原市栗駒沼倉地区、集落上手の岩山の中腹に、車道が開削されています。
この山の岩質は堅牢なので、山側法面はモルタルの吹付けがない箇所もあります。
そんな場所は岩壁状になっているため、岩場を好む羊歯植物が、何種類か着生しています。
今回観察したのはオサシダです。
山地の斜面や、林道沿いなどでよく見かけるシシガシラの仲間ですが、シシガシラがやや
湿り気のある場所に生えるのに対し、オサシダはやや乾き気味の岩場などに生えます。




                             二枚とも2017.11.14撮影

名の由来は、手織り織機の筬(おさ)に似ていることによるものです。
昔の機織の音を表現すると「トンカラリ、トントンカラリ・・」となりますが、このトンの音を
出すのが筬です。織物の横糸を寄せて、詰んだ織物に仕上げる道具です。
下にその写真を貼り付けます。

シシガシラと似ていますが、シシガシラは葉が車座に丸く付くのに対し、オサシダは枝垂れます。
シシガシラは全体が大振りで葉幅もありますが、オサシダは小ぶりで葉幅も狭く華奢な感じです。
細部では、葉の羽片の幅がシシガシラの方は4~7mmと広いのに対し、オサシダの羽片の幅は
2~4mmと狭いですね。
なお、写真に写っている葉は全て栄養葉です。


                        〈手織り織機の通販サイトより借用〉


                                 2017.11.14撮影

シシガシラ科ヒリュウシダ属の常緑性羊歯植物で、本州~九州に分布する。
深山のやや乾いた岩壁や崖地に生え、しばしば群生する。北向きの岩壁に生えたり、岩の窪み
に多いことから、日陰を好む傾向がある。
葉柄はわら色、葉柄基部の鱗片は褐色の膜質で、狭卵形。
葉は単羽状葉、栄養葉と胞子葉の2形性。栄養葉は葉柄が長さ2~10cm、葉身は披針形で
長さ20cmほど、先端は尾状に伸び、基部は次第に細くなる。栄養葉の羽片の中肋表面に溝がない。
羽片の幅は2~4mmで、先端は丸く鈍頭。
胞子葉では、葉柄はより長くて3-12cm、淡い紅紫褐色。葉身は栄養葉より細い狭披針形で、
長さは同じく20cmほど。羽片の中肋は表で溝とならず、裏でも隆起せず目立たない。
ソーラスは羽片の中肋に沿って線形に付く。



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