里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

カラムシ 越後上布の素材

2017-02-07 | 日記
大崎市鹿島台から大郷町あたりの丘陵地を歩くと、集落周りや耕作地法面に
茂っているカラムシをよく見かけます。
カラムシは古い時代から、衣類や生活道具に用いられてきた繊維素材で、地域や
時代によって様々な呼び名があります。
苧(お)、青苧(あおそ)、苧麻(ちょま)などと呼ばれ、絹や綿が普及する前は上布を織る
糸の原料として、各地で栽培されていました。
それが野に逸出し、道路や耕作地の法面、山裾の草地などに繫茂しています。

今回カラムシを撮影したのは松島町の富山山麓です。
ここも大郷町から続く丘陵地ですから、かつては山の畑でカラムシを栽培していた
のかも知れませんね。新芽は食べられるので、春の恵みとして食していたかも ?




                             二枚とも2016.10.1撮影

縄文遺跡から出土した編布(あんぎん)にも、カラムシの繊維が使われていたようですから、
これも原始布の素材と言えるでしょう。

さて、タイトルの「越後上布」とは何でしょう ? 以下に「上布 着物」より転載します。
上布は手積み(麻を細かく裂いて繋ぎ、撚り合わせる)した細かい糸を、産地独特な
技法で織りあげ、加工した高級な麻布のことで、越後上布(小千谷縮)、近江上布、
能登上布、宮古上布、八重山上布が有名である。

越後では上杉氏が原料からむし(苧麻)の栽培を奨励したことにより、越後上布の生産
が盛んになった。寛永10年(1670年)明石藩の浪土、堀次郎将が小千谷に移住して、
越後上布の改良を試み緯糸に強い撚りをかけて布を織り、仕上げで布にしぼを作ることに
成功し、これが「小千谷縮」の起源となり、縞や花模様等を織り出す工夫がされた。
上布と縮布の違いは、縮布が緯に強い撚糸を使う点にあり、他はすべて同じである。
からむし(苧麻)の手績糸(てうみいと)を地機で織り、雪晒しを行って仕上げたもので、
昭和50年「越後上布」「小千谷縮」として重要無形文化財指定を受けた。

上布に織り上げるのは新潟県小千谷市などの中越地方ですが、からむし栽培から
手績糸生産までは、福島県奥会津地方の昭和村で行われています。
雪深い高所の村ですから稲作などが不安定なため、現金が得られる工芸作物として、
現在まで栽培が続けられてきたものと思われます。


                                 2016.10.1撮影

イラクサ科カラムシ属の多年草で、本州~沖縄に生え、史前帰化植物とする説もある。
茎から丈夫な繊維が取れるため、古くから栽培されていて、草丈は1~2m。
地下茎を伸ばしながら繁茂するので、しばしば大きな群落を形成する。
茎、葉柄、葉裏の脈上に斜上毛が密生する。葉は互生し、長さ10~15cm、縁に鋸歯が
あり、先が細く尖る。上部につく葉の裏には白い綿毛が密生する。雌雄同株。
花期は8~10月で、総状花序の枝は基部から分岐し、果時には密集して垂れ下がる。
雌花序が上部の葉脇につき、雄花序が下部の葉脇につく。雌花は2個の花被片が合着
して花被筒となり痩果を包む。雄花は花被片4個、雄しべ4個。
痩果は長さ0.8mmでおびただしい数が付く。



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