里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ナンバンハコベ 沢田脇の草薮

2018-08-30 | 日記
一関市藤沢町藤沢地区の西部、標高150mほどの丘陵地に溜池があって、その下手
の水田脇には、コンクリート化されていない細い水路(小沢)が流れています。
水路周りは草地になっていて、クズやツユクサが草薮をなしています。

草薮の間から白い花らしきものが覗いています。しゃがみこんで観察すると、花びら
の間には既に丸い実のようなものが付いています。何でしょう、初めて見る花です。
葉や茎がハコベの仲間のような印象ですが、茎が随分長いですから、つる植物ですね。
帰宅後に調べてみましょう。




                             二枚とも2018.8.27撮影

野草図鑑「つる植物の巻」のページをめくって見比べていると、「ナンバンハコベ」によく
似ています。解説文を読み込むと、つるの伸び方や葉の付き方が合致し、花期や自生環境にも
矛盾はありません。分布域は北海道〜九州ですし、これで間違いないでしょう。

ナンバナハコベを漢字表記すると「南蛮繁縷」となります。花や果実の形が風変わりであること
から、異国風の印象があり、それで頭に「南蛮」を付けたようです。
ただ、れっきとした在来種です。




                             二枚とも2018.8.27撮影

ナデシコ科ナンバンハコベ属のつる性多年草で、北海道〜九州に分布し、茎の長さは1.7mほど。
丘陵地~低山の林縁や耕作地周辺に自生し、日当たりと湿り気を好む。
茎はつる状で短毛があり、よく分枝して、長く伸びる。葉は対生し、葉身は卵形~卵状披針形で
長さ3〜9cm、先端は尖り、基部は葉柄に流れる。葉柄の長さは3~5mm。
全縁で、質は薄く、葉縁や葉裏に短毛が多い。
花期は8〜9月、花は枝先に1個つき、横向き~下向きに咲く。萼は初め筒状で長さ1cm、開花
すると中ほどまで裂け、花後は開出して宿存する。花弁は白色で、5個が離れてつき、長さは15mm、
爪部があり、舷部の途中で折れ曲がり、先が2裂する。雄ずいは10個、花柱は3個、子房は1室。
果実は液果状の蒴果。球状で黒色に熟し、直径6~8mm。
種子は長さ1.3mmほどの腎形で、光沢のある黒色。


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