銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

小杉湯(東京・高円寺)(朝風呂)

2019-11-16 06:43:49 | 銭湯





JR中央線の高円寺駅を下車して商店街へと進むと、住宅地の小道に小杉湯がある。
たえず進化し続ける若者に支持された銭湯だ。

【小杉湯】をザックリいうと
◎温冷交互浴の聖地
・拡張し続ける銭湯
・遊び心を併せ持つ
・9割以上が若者






▲高円寺駅


▲出て左


▲右側の横断歩道を渡る








▲入るのはこの商店街


▲とりあえず真っ直ぐ進もう










▲突き当たり


▲左に曲がって


▲右側奥に精肉店があるのだが


▲そこを曲がる




▲ストップ


▲デンカランドを目印に左








▲奥に看板が見えるが…。これは手前を右に曲がれという案内板なので、騙されて近づいてはならない


▲なのでクリーニング屋さんのところを曲がると




▲左手に小杉湯がみえてくる






▲入ってきた道を振り返る


▲到着


入り口に入ると、下足箱。右の入り口に向かうと左側にポスターが張ってある。どうやら隣に建物を建てて、そこでサービスを拡張するらしい。どんな食事提供をしてほしいかアンケートも取っていた。
自動扉を開けると、奥に休憩所。そんなに広くはないものの、壁にはビッシリと漫画本が並ぶ。
左にフロント。座るのは、20代前半ぐらいの男性だ。大学生あたりだろうか。いかにもこの年代らしい対応だった。
貸しタオルを訊ねると、「小さい方は無料で、大きい方は40円です」と案内される。小さいタオルでいいので、無料でかりることに。


男湯は右側にあって、ここは暖簾ではなく引き戸。
扉を開けると、通路のところにラミネートされた「銭湯図鑑」が無数に張られてあった。
ここは銭湯図鑑を描いている女性が働いているところなので、当然ながら小杉湯も紹介されている。


▲小杉湯の銭湯図鑑(横浜の銭湯が見あたらなかったのは横浜住人として気掛かりだったが…)


その通路を抜けると、脱衣場の中。
全体的な作りはほかの銭湯と変わらない。入り口手前側を中心にロッカーが並び、左奥に洗面台。右にトイレ。と一見すると普通なのだが、細かく見ると、ここのディテールに対する徹底ぶりが垣間見える。
特にアメニティは凄い。随分コマゴマとしたのがあるなと思って見てみると、化粧水、乳液、ヘアウォーターなどがあって、ティッシュ、綿棒、歯間ブラシ、なんとゴミ箱は綿棒と歯間ブラシ専用まで用意してある。
それらが当然ながら無造作にではなく、統一感あるデザインで置かれてあるのでとてもオシャレな雰囲気。
先鋭的なスーパー銭湯とも比肩する充実ぶりである。これが個人経営で実践されているというのだから驚きだ。
くわえて体重計はデジタルとアナログが両端にあって、血圧計もあった。


出典:東京銭湯ホームページ引用


ちなみに脱衣場の中を手作りのタスキ掛けした20代ぐらいの女性が、何度も出入りしていた。タスキ掛けはスタッフであることを示す遊び心ある演出だろう。
男の脱衣場にこうした若い女性が出入りすることで少し気後れする人もいるかもしれないが、ほぼ通り過ぎるだけなので問題なし。
むしろ朝風呂でスタッフが複数いることに驚いた。それだけ客数が充実している証か。
同じ朝風呂でも久が原の「ますの湯」は、人件費を掛けられないためか若い女性が一人だけで切り盛りしている。
なので受付はもとより脱衣場、浴室の中までフツーに入ってくる。このあたりになると少し苦手な人もいるかもしれない。
以前、朝風呂から出るときに全身を広げて扇風機で体を冷やしていたら、その横を女性がササッと横切ったり、浴室の扉を開けたら目の前で女性が屈(かが)んでいたりと、その時はちょっと恥ずかしかった。


小杉湯に話を戻すと、扉を開けて浴室を見渡せば、カランは島カランが2つ。右手前に立ちシャワーがあって、立ちシャワーは、固定とハンドシャワーと二種類。



出典:東京銭湯ホームページ引用


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲こちらは高齢者向け


島カランの方が、こちらも一見すると変哲のないカランに見えるのだが、座ってみると、アメニティのすごさが実感できる。
「アメニティがアップデートしました」と描かれたポスターには、クラシエの「ZIRA」の特徴が紹介されていた。


出典:クラシエホームページ引用


これは調べたところ、どうやらレジャー施設用の商品らしく、一般では売られてないものらしい。しかしお店が高いお金を掛けて用意してくれてるアイテムだろう。なんとシェービングフォームまであった。


浴槽は奥にあって、L字型をしている。
左からみると、白湯で深浴槽になっていて、ボディジェット、ハイパージェット、座湯と並ぶ。温度は42℃ほど。
座湯は9つものジェットがあり、なかなか刺激的だが、強すぎず気持ちいい。水枕も機能してて冷たい。
そのお隣が薬湯。薬湯は熱めの温度で、44℃ほどか。3人ほどが入れるスペースで、熱くても意外と入ってる人が多い。


出典:東京銭湯ホームページ引用


さらにその右隣にあるのが、小杉湯の看板商品であるミルク風呂。
複数の成分を混ぜたものらしく、贅沢バージョンの薬湯と言ったところである。見た目とは裏腹に強い匂いはなく、しっとりとした肌触りも素晴らしい。
さらに手前側に突き出たのが水風呂で、水温は温度計だと14℃になっていたが、そこまで低いかな?といった感じで、自分の肌感覚だとせいぜい16℃あたり。
こうして並べてみると狭いながら浴槽のバリエーションは豊富で、色々と楽しませてくれる。
ところで一番人気はやはり名物のミルク風呂かと思いきや、意外にも水風呂だった。
どの時間を切り取っても必ず人で埋まっており、3人しか入れないのに、入り口の段差部分に無理矢理入る猛者までいた。
改めて水風呂は人気を獲得する上でマストアイテムであることを再確認する。

これをラグビーの格言にちなんで表現するとー
「One for all, All for one」
“一人はみんなのために、みんなは一人のために(あるいは一つの目的のために)”

を「Hotwater for coldwater, Coldwater for hotwater」と言い換えることができるだろう。

“熱いお湯は、冷たい水風呂に入るために。冷たい水風呂は、熱いお湯に入るために”

永遠に続く幸せのルーティンである。


浴室は、色使いが優しい白色系で梁の部分が淡いピンク色。天井部分も純白で美しい。全体的に過剰演出は控えめで落ち着いた雰囲気。
壁絵は、古典的なペンキ絵であるが、三浦半島から眺める富士山が右隅に小さく描かれている。


客層はというと、見事なまでに若い人ばかり。
ほぼ全員と言っていいほど見た目は20代ばかりだった。それが狭い浴室に十数人とワンサカいる。
いつも高齢者ばかりに囲まれているので、ここは別世界である。
こうした特殊性は高円寺という場所と無縁ではないだろう。
ミュージシャン、絵描き、俳優、コメディアン、漫画家、モデル等々…そうした表現者となるべく希望と野心をもった若者たちが全国から集まってくる街。それが高円寺である。
小杉湯は、そうした若者たちから憩いの場として支持されている。
芸術嗜好と遊び心を併せ持ち、夢見る若者たちと共鳴する感性が経営者にあるのかもしれない。


ちなみに小杉湯が日曜日に朝風呂を始めたと教えてくれた人も、じつは音楽活動をしていて、たまにテレビ出演している。
小杉湯は、とにかくいつも混雑してて、前回来た時は足の踏み場もないほど窮屈だったため、喜んで二度目はないかなと思っていたのだが、「いつも混んでるけど昼の時間帯は比較的空いてるよ」という話を聞いたので、モノは試しにと今回はジャスト12時を目安に訪ねてみることにした。
実際に行ってみると、少し混んでるものの、前回のようなロッカーの空きを待つとか、カランが全部埋まってるとか、並んで入浴するとか、そのようなシチュエーションはさすがになかった。
混雑は嫌いだが小杉湯に行ってみたいという方は、日曜日のお昼頃をオススメする。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 高円寺
経路 商店街を抜ける
周辺の環境 住宅地と商店街の境

●空間演出
建物外観 古い宮造り
壁画・眺望 三浦半島と富士山
統一感 あり
置物 ポスターが多数
照明 ふつう

★設備
休憩所 フロント横に小さなロビー。漫画本が多数
脱衣所 広さは普通であるが、アメニティが充実
シャワーの出 ふつう
浴槽の種類 複数のジェットバス、薬湯、ミルク風呂、水風呂
サウナ なし
温度 41℃、43℃、44℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 ふつう
清潔さ きれい
貸しタオル あり(0円、バスタオルは40円)
備え付け あり

◆人
受付 20代の男性
客層 20代がほとんど


【案内】

住所
〒166-0002
杉並区高円寺北3−32−2

電話番号
03-3337-6198

アクセス
中央線「高円寺」駅下車、徒歩5分

休日
木曜

営業時間
15:30−25:45
日曜は朝8時より営業

※東京銭湯ホームページ転載