播磨にも様々な歴史伝承がある。
それぞれの地元では、長い年月を大切に語り継がれている。
いわゆる、伝説という部分があったり、後世の作家が創作を盛り込んだものも多い。
しかし、地元では、そんなことお構いなしに大切な地元の物語として愛され続けている。
「こころの祭り 姫路」~播州しの笛の調べ では毎回、そういった播磨の物語りを「しの笛と朗読による~播磨の物語り」として上演している。
今年新たに取り上げるのは、宍粟市波賀町に長く伝承されている、波賀城の物語り。
「波賀城物語り~波賀七郎と名馬」
この物語りは8年前、波賀町の観月会演奏を承った時、この物語りを取材し、しの笛曲集として作曲、演奏させていただいた。
「風の音~波賀(城山如水作曲)」
波賀七郎と名馬
駆けろ名馬
波賀の長船
古城名月~波賀城
波賀城恋歌
・・・の5曲よりなる。
波賀市民センターの能舞台での観月演奏会に先立って、今は民家の裏山にひっそりと佇む波賀七郎の墓前にて、奏でさせていただいた。
今回の「こころの祭 播州しの笛の調べ」演奏会において、播磨の物語りとして再上演させていただく。
今回の再上演にあたって、資料を送ってくださった宍粟市波賀町教育委員会に感謝申し上げます。
もう一つの演目は、「姫路城下~武蔵とお通の花田橋」
この物語りは、吉川英治氏の「小説・宮本武蔵」に描かれる名場面「花田橋」の章。
実は、この物語りは吉川英治氏の創作と言われることも多いが、宮本武蔵と言えば、お通さん というぐあいに、今では当たり前のように愛されている。
あるいは、お通さんのモデルとなるような女性がいたのかも知れない。
そして姫路城下、小川橋のたもとには「お通公園」があり、今も武蔵を慕う「お通さん」が しの笛を携えて佇んでいる。
地元には「姫路城下~武蔵・お通 笛の会」があり、しの笛演奏に活躍している。
この模様は、「平家物語」が時代を経て完成されていった様子とよく似ている。
「一の谷の合戦」についても、神戸には、「鵯越の逆落とし」の地とされる場所が二箇所あり、どちらの地元も義経の「逆落としの地」の伝承を大切にしている。
歴史ロマンとはそういうものであろうと思う。
「播州しの笛」は武蔵を慕う「お通さんの笛」である。
吉川英治が「お通さんの笛」として描いた笛は、「吟龍の笛」と名づけられた母の形見である。
「こころの祭 姫路」で、毎年かかさず「播磨の物語り」として上演するのが、
「姫路城下~武蔵とお通の花田橋」
演奏する曲目は「風の音~恋文・愛(城山如水作曲)・・・姫路城下、武蔵・お通さんに寄せて」
この演奏には、姫路伝統工芸の明珍火箸も、美しい響きを添えてくれる。
播州城山流<しの笛 風の音> 城山如水
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