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ブログ版 シュプリッターエコー

青の深さと音楽性―笹田敬子展

2007-09-19 13:50:01 | 美術
 笹田敬子さんはブルーをとても印象的に使う抽象画家ですが、その青を主体にした個展が神戸・ハンター坂のギャラリー島田で9月26日まで開かれています。

 1997年から98年にかけて伊豆美術祭絵画公募展大賞、上野の森美術館大賞展大賞などの受賞が続き、そのころの作品にはまだ人の顔のような形象(カタチ)が画面の一角に浮かんでいましたが、その後さらに抽象の度合を深めて、青の跳躍がいっそう前面に出てきました。

 神戸生まれ、神戸育ちの画家ですが、ひところ淡路島に住んでいたことがあって、そのときに触れた海の青さが、あるいは絵にも影響しているのかもしれませんね、とこれは画家自身の自己分析です。
 たしかに淡路島の海の青さと神戸の街の明るい光が作品の骨格になっているようにも思えます。

 音楽が画面から聞こえるようなのも笹田さんの作品の大きな特徴といえるでしょう。
 初期のころにはジャズの律動的な感覚が中心になっていて、それが徐々にクラシカルな深い響きへと変わってきているのも、興味を誘われるところです。

 ジャズといえば、まさしく都市神戸の音楽です。
 10月には神戸ジャズストリートと銘打って今年もジャズの祭りが開かれます。
 ところでクラシックも、あまり知られてはいませんが、神戸ではいちはやく開港時代(幕末~明治)の居留地にヨーロッパから入っていて、筝曲家(そうきょくか)の宮城道雄が邦楽の近代化を遂げたのも、彼が居留地育ちだったからだと分析されているほどです。
 ですから、クラシックもまた神戸の音楽文化の重要な一角を占めて今日に至っているといえるのです。

 深い青と明るい感覚とリズミカルな音楽性。笹田さんはまさしく神戸からスピリチャルなインスピレーションを汲んでいる画家なのではないでしょうか。

 ギャラリー島田は078.262.8058 http://www.gallery-shimada.com/
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 なお笹田敬子展の個展評を本ブログの姉妹編「批評紙Splitterecho(シュプリッターエコー)」Web版に掲示しています。Web版はhttp://www16.ocn.ne.jp/~kobecat/