文楽劇場で「仮名手本忠臣蔵」をみました。
いま大阪で上演されているのは大序から、塩谷判官(浅野内匠頭に相当)の切腹をクライマックスとする四段目まで。このあと夏と秋に分けて残りの段がすべて上演されます。
「塩谷判官切腹の段」では人形を操っているというよりは、塩谷判官の人形がそう動こうとするのを吉田和生さんたち人形遣いが手伝ってやっているような、そんな不思議な感覚に襲われました。
「切り場語り」の豊竹咲太夫さん、渋かったです。
ひとつの段のクライマックス場面を「切り場」、その切り場を語るトップスターの太夫を「切り場語り」と呼びますが、いま咲太夫さんが唯一の切り場語りなのだそうです。
それにしても、Webでチケットを予約したときは残席がもう2、3席しかなくて焦りましたが、今日行ってみると、僕の前20席ぐらい誰も座ってなかったのは、あれはどういうことかしら。みやすくてよかったけど。
その後、小曽根環さんの作品展をみに西天満のMI galleryに。
アクリル板の上に以前は水玉模様が散りばめられていたのが、今度は線に。
明るく澄んだ彩色が、くすんだ、少し生々しくさえある赤や緑に。
以前、小曽根さんが「自然が好きで」と話していらっしゃったとき、僕としてはむしろソリッドで無機的な作品のたたずまいに心をひかれていたものですが、今回、より有機的な自然を感じさせる展開を遂げているようで、いろいろと腑に落ちるものがありました。
もう形が決まった、と思われたところから、さらに展開をする。すこしでも自分の表現したい形に近づけようと、純粋さを研ぎ澄ませていく。
いばらの藪をみつめているようだとも思いました。その筆づかいには得も言われぬ運動の快楽があり、いつまでながめていたく思われました。
会期は4/19(金)までです。
それから、ギャラリー風で「第7回カロンズ大賞展」。
ギャラリー主催のカロンズ大賞の候補作家6人の作品展です。
寺岸遼佑さんの作品は、石膏地を滑らかに、そしてとろどころ少し盛り上げて塗りこめてある、その白の美しさが目をひきます。
そこに葉や花を思わせる形が優美な色使いとタッチで描かれているのですが、単なる余白ではないあの白地との緊張感が作品に独特の印象をもたらしています。
今後どんな作品を描いていかれるのか楽しみです。
候補者6人の方々はいずれも30代半ばぐらいまでのお歳だということ。
最終日4/20に大賞の結果発表があり、受賞者はART OSAKA 2019のブースで展示されるそうです。
審査員の方々のお名前の中には神戸のBBプラザ美術館顧問の坂上義太郎さんのお名前もありました。
最後に、アートコートギャラリーで「今井祝雄 行為する映像」展。
今井祝雄(のりお)さんは「具体」出身の作家で、今回の展覧会の圧巻はやはり、天井の高い大きな展示室の壁に映し出される16ミリ作品「円」(4分、1967年)でしょう。
不安定に揺らぐ円形の光に、不明瞭で断片的な様々な音が重ねられる映像作品ですが、作品が終わったあとの沈黙、沈黙に突き落とされたという感覚が衝撃的です。
何と、いま解説を読むと「16ミリフィルムにパンチで1コマずつ穴を開ける手法でつくられた」のだそうです。
まだ頭の中で光が伸縮し、奇妙な騒音が反響しています。
アートコートギャラリーは本当に久しぶりに行きましたが、ここはロケーションにしろ展示空間にしろ、無二の場所です。好きです。
今井祝雄展は6/15までと、割と会期はあります。
ギャラリー風からアートコートギャラリーまで行くのに、大川沿いに出るまで天満をさまようてたわけですが、西天満にある伏見屋書林という古本屋さんに入りました。
ここは人文書も充実していましたが、法政大学出版局の「ものと人間の文化史」のシリーズがみたことないぐらいたくさん並んでいました。
大阪天満宮門前の黒猫。ごはん~って人なつっこく鳴いてましたから、かわいがられてるんでしょうね。
大川の河原に下りようってあたりの桜。カラスがいっぱい。
カラス、カラスです。花見客が残していったのか河原はゴミがすごくって、そのゴミとカラスだらけの陰鬱な川沿いの道を、散り際の桜を愛でる人やらたくさんの外国人観光客やらがちょっと素敵な場所って感じで歩いてて、何だか感覚が混乱します。
別にカラスが苦手というわけではありませんが。
河原から橋に上がる素敵な螺旋階段。でも階段の下はやっぱりゴミだらけ…。
橋に上がれば、はや日は暮れかかり、空には月と飛行機と。
アートコートギャラリーからは徒歩で梅田を目指しました。静かな住宅地を歩いていたら、向こうにカーニバルのような光が。
近づいてみると、天満市場。
またゆっくり歩いてみたいです。
いま大阪で上演されているのは大序から、塩谷判官(浅野内匠頭に相当)の切腹をクライマックスとする四段目まで。このあと夏と秋に分けて残りの段がすべて上演されます。
「塩谷判官切腹の段」では人形を操っているというよりは、塩谷判官の人形がそう動こうとするのを吉田和生さんたち人形遣いが手伝ってやっているような、そんな不思議な感覚に襲われました。
「切り場語り」の豊竹咲太夫さん、渋かったです。
ひとつの段のクライマックス場面を「切り場」、その切り場を語るトップスターの太夫を「切り場語り」と呼びますが、いま咲太夫さんが唯一の切り場語りなのだそうです。
それにしても、Webでチケットを予約したときは残席がもう2、3席しかなくて焦りましたが、今日行ってみると、僕の前20席ぐらい誰も座ってなかったのは、あれはどういうことかしら。みやすくてよかったけど。
その後、小曽根環さんの作品展をみに西天満のMI galleryに。
アクリル板の上に以前は水玉模様が散りばめられていたのが、今度は線に。
明るく澄んだ彩色が、くすんだ、少し生々しくさえある赤や緑に。
以前、小曽根さんが「自然が好きで」と話していらっしゃったとき、僕としてはむしろソリッドで無機的な作品のたたずまいに心をひかれていたものですが、今回、より有機的な自然を感じさせる展開を遂げているようで、いろいろと腑に落ちるものがありました。
もう形が決まった、と思われたところから、さらに展開をする。すこしでも自分の表現したい形に近づけようと、純粋さを研ぎ澄ませていく。
いばらの藪をみつめているようだとも思いました。その筆づかいには得も言われぬ運動の快楽があり、いつまでながめていたく思われました。
会期は4/19(金)までです。
小曽根環さん「ダイジニオモウコト」
それから、ギャラリー風で「第7回カロンズ大賞展」。
ギャラリー主催のカロンズ大賞の候補作家6人の作品展です。
寺岸遼佑さんの作品は、石膏地を滑らかに、そしてとろどころ少し盛り上げて塗りこめてある、その白の美しさが目をひきます。
そこに葉や花を思わせる形が優美な色使いとタッチで描かれているのですが、単なる余白ではないあの白地との緊張感が作品に独特の印象をもたらしています。
今後どんな作品を描いていかれるのか楽しみです。
候補者6人の方々はいずれも30代半ばぐらいまでのお歳だということ。
最終日4/20に大賞の結果発表があり、受賞者はART OSAKA 2019のブースで展示されるそうです。
審査員の方々のお名前の中には神戸のBBプラザ美術館顧問の坂上義太郎さんのお名前もありました。
寺岸遼佑さんの作品
最後に、アートコートギャラリーで「今井祝雄 行為する映像」展。
今井祝雄(のりお)さんは「具体」出身の作家で、今回の展覧会の圧巻はやはり、天井の高い大きな展示室の壁に映し出される16ミリ作品「円」(4分、1967年)でしょう。
不安定に揺らぐ円形の光に、不明瞭で断片的な様々な音が重ねられる映像作品ですが、作品が終わったあとの沈黙、沈黙に突き落とされたという感覚が衝撃的です。
何と、いま解説を読むと「16ミリフィルムにパンチで1コマずつ穴を開ける手法でつくられた」のだそうです。
まだ頭の中で光が伸縮し、奇妙な騒音が反響しています。
アートコートギャラリーは本当に久しぶりに行きましたが、ここはロケーションにしろ展示空間にしろ、無二の場所です。好きです。
今井祝雄展は6/15までと、割と会期はあります。
アートコートギャラリー
✴ ✴ ✴
ギャラリー風からアートコートギャラリーまで行くのに、大川沿いに出るまで天満をさまようてたわけですが、西天満にある伏見屋書林という古本屋さんに入りました。
ここは人文書も充実していましたが、法政大学出版局の「ものと人間の文化史」のシリーズがみたことないぐらいたくさん並んでいました。
大阪天満宮門前の黒猫。ごはん~って人なつっこく鳴いてましたから、かわいがられてるんでしょうね。
大川の河原に下りようってあたりの桜。カラスがいっぱい。
カラス、カラスです。花見客が残していったのか河原はゴミがすごくって、そのゴミとカラスだらけの陰鬱な川沿いの道を、散り際の桜を愛でる人やらたくさんの外国人観光客やらがちょっと素敵な場所って感じで歩いてて、何だか感覚が混乱します。
別にカラスが苦手というわけではありませんが。
河原から橋に上がる素敵な螺旋階段。でも階段の下はやっぱりゴミだらけ…。
橋に上がれば、はや日は暮れかかり、空には月と飛行機と。
アートコートギャラリーからは徒歩で梅田を目指しました。静かな住宅地を歩いていたら、向こうにカーニバルのような光が。
近づいてみると、天満市場。
またゆっくり歩いてみたいです。
(takashi.y)
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