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社会科学上の不満

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外交と防衛、歴史と現状についての不満のハケ口。(観念論の方は出入り禁止)

米国は海洋国家である

2014-05-21 00:00:17 | 外交と防衛

 米国は広大な大陸であり、資源も豊富である。経済的価値から中東の石油に頼っているが、その石油の埋蔵量も膨大である。

 一旦、米国が内向きになればそれはそれで米国はやっていけるであろう。モンロー主義の時代に戻ればよい。

 しかし、日本は鎖国を今更出来ない。資源がないためだ。自給自足でやっていくには明治初期の人口である6000万人が適切である。現在の1億3千万人を食べさせるには、原料を輸入し付加価値をつけ輸出し稼がなくてはならない。人間は理想と言う霞だけでは食べていけない。

 ここで米国を大陸国家であると捉えることは間違いである。米国の元宗主国である英国の影響が大きい。

 英国が大英帝国として世界を席巻できたのはなぜか?このような立場で戦略構想を纏めたのが、米海軍のマハン少将である。一般には「マハン理論」として知られている。

 英国の海外領の統治方法は、それまでのイスラム帝国やモンゴル帝国、ローマ帝国と異なる。領地全域を統治するのではなく、その地域の海への窓口を押える事で、内陸部への物流をコントロールする。インドに於けるボンベイ(現ムンバイ)や中国における香港と言った海への窓口となる港湾を押えることで、その内陸にいやその国に影響力を行使した。これにより領土そのモノに駐留する兵員の数が驚くほど少なく同等の成果を得ることができた。戦前の日本のように内陸へと引き込まれて泥沼化し戦闘行為が長引く愚を回避した。

 米国もこの方法を踏襲して、日本を占領した。横須賀、佐世保、那覇、何れも大きな港湾を有している。マハン理論に基づく占領政策である。しかしアフガニスタンには海がない。イラクも海はほんの僅かしかない。港湾を押えて占領するマハン理論が使えない地理的条件の地区である。幾ら戦闘で圧倒的強さを示せても占領とは大きく異なる。内陸部を占領しなければならないとなると、中国大陸に於ける旧日本軍のように泥沼に入り込む。

 結果はご存知の通りである。米国の基本戦略は「海洋国家」であることが理解できる。

 大陸国家の占領はロシアのイワン雷帝やイスラム帝国の過激さ悲惨さが無ければ占領は困難である。戦後では毛沢東の遠征がその良い事例である。チベットの悲惨さは、ハリウッドでも「ゴールデンボーイ」で映画化されている。内モンゴルの悲惨さは近年まで情報統制が厳しく伝わってこなかった。大陸国家の占領政策のキーは「恐怖」である。

*写真はアルフレッド・マハン

コメント (1)
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