世界のシルク市場の98%以上を中国が占める、他の国総て合わせて2%未満である。日本など0.?%になるのだろうか。常識的に考えれば、中国シルクに簡単に日本シルク業界は潰されるが、中国が日本のシルク業界を潰せない理由がある。
これは20年ほど前に群馬県の養蚕課の課長から直接聞いた話である。この吹けば飛ぶような0.?%の日本のシルクが、シルクの国際市場価格を支えているそうだ。糸の質、織りの技術、などなど中国が到底及ばないそうだ。日本のシルク業界を潰せば、シルクの国際市場価格が暴落する、よってこれを潰せないそうだ。
故に、日本から技術移転を望み群馬県に訪中を依頼してきたそうだ。しかし、中国人は欲の皮が突っ張っているようで、群馬県の前橋市と中国の某市(訪問先の市、忘れた)が「姉妹都市」を結ぼうと、訪中の2日前に連絡してきたそうだ。当然日本では議会の承認も必要であり、2日前の連絡では不可能である。しかもFAXで連絡してきたそうだ。
当時日本の地方都市と姉妹都市になることが出来れば、担当者は共産党の地位が2階級上がったそうだ。さすれば芋蔓式に一族の地位も上がる。
到着早々の歓迎は凄かったそうだが、日本は議会の承認が無ければ姉妹都市は結べないこと、姉妹都市締結を県が市町村に強制できないことを伝えると、豹変して、「この宴会の費用を全部出せ」と喚き出したそうだ。件の課長は「ふざける」と言って当時60万円程度を支払い翌日には帰国したそうだ。結果論であるがこれにより日本の絹の技術が中国に伝わることはなかったようだ。
件の課長、本来なら処罰ものだそうだが、群馬県は保守王国であったため訓告で済んだそうだ。左翼政党が強い県であればタダでは済まなかったであろう。
また、天皇陛下は稲を皇后陛下が皇居で養蚕を行っている、宮中行事の一つである。当時、廃れるだけの養蚕産業を憂いて皇后陛下が「悲しいですね、日本の伝統産業なのに」と呟かれたそうだ。そのため群馬県養蚕課にイキナリ国から40億円の予算がついたそうだ。使用目的が限定されている予算が40億円もついても担当の養蚕課はその使い道の模索に大変苦労したようだ。
質はともかく金額では中国製品に太刀打ちできない「絹織物」、シルクが生き残るには化粧品や医薬品、医療素材として市場をもう少し大きく育てることが大切である。