木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

ピンハネ社会

2007年06月15日 | Weblog

コムスンにNOVA。介護と英会話。福祉と教育の分野だが、基本的に大もうけできて、急成長する分野ではない。
大もうけするには、やはり従業員の給与や生徒の授業料のピンハネとか、介護や授業の質を下げてというところに行き着く。
ただ、コムスンは24時間訪問介護を打ち出し、NOVAは駅前の便利なところに教室を設置する、というように目の付け所は良かったし、24時間体制の訪問介護は必要ではあっても、他の事業者はなかなか手を出せなかったところではあった。



『ある子供』。ベルギーの映画監督ダルディンヌ兄弟の秀作だ。
盗みをして暮らす20歳の若者と18歳の少女の間に子供が生まれる。
少女のほうは母性に目覚めるが、若者には父としての実感が持てない。
金のために子供を売る。しかし少女の激しい抵抗にあって、子供はとりかえすのだが。
ダルディンヌ兄弟のカメラは、まるでドキュメンタリーのように淡々と、若者の刹那的行動を追う。
セリフも短い。この種の若者達が、殆ど単語だけで生活していることを表現している。
また若者と少女が、物を投げあったり、足払いをかけて相手をつまずかせて転げまわってじゃれあったりするシーンで、彼等が精神的にまだまだ子供であることを伝えている。
フランスとベルギーの合作映画だが、最近もフランスの移民の若者達の暴動のニュースが伝わってきたが、ヨーロッパ社会でも行き場のない若者達の現実がある。
この映画の若者には帰れる家もない。たまたま母を訪ねると、そこには母の恋人が来ていて、彼は中にも入らず、用件だけを母に伝える。
テレビのワイドショーの話題は年金記録の消失とともに、「ネットカフェ難民」だ。
敷金・礼金の壁に阻まれて、安いアパートにさえ入居できないがゆえの「ネットカフェ暮らし」。
日雇いの派遣労働で暮らす、それは若者達だけでなく、失業した中年の現実でもある。ここにも労賃のピンハネが。
アジア・太平洋戦争の悲惨の中から、日本国民がやっと得た「国民主権」。
その主権者意識のもとで、労働者としての権利、人間としての権利を主張し、獲得してきたはずだが、獲得したものは、油断していると、アッという間に、「ずるがしこくて、厚かましい連中」に奪われてしまう。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする