国会は、参議院で、教員免許更新制など教育関連法案、イラクへの航空自衛隊派遣延長法案など、強行採決で決めていく。
まるで、小学校の学級会のようだ。何でも多数決、というのは小学校レベル。
これが中学生になると、「決を取る前に、もっと話し合おう」とか「こんなことを多数決で決めていいのか」という、異論が出てきて、ここから改めて話し合いが振り出しに戻ったりするのだが(今の中学生はどうか知らないが)
こんな低レベルの国会議員に投票している国民と、投票にも行かず、これらの議員の当選に手を貸してしまっている国民も同罪・同レベルということなのだろう。
自衛隊内の調査部が、市民活動の監視をしている事実が、共産党によって明らかにされたが、映画『善き人のためのソナタ』は、そんな監視機関で働く男が、監視対象に感情移入し、決定的証拠を破壊してしまう物語だ。
監視社会で有名な旧東ドイツ。密告が奨励され、身近な家族がお互い密告の対象にさえなっていたという社会だった。
監視員の男は、真面目、優秀、質素。それに対して、直属の上司は出世が第一義であり、大臣、と呼ばれる人物は腐敗している。
こういう背景があるからこその、監視員の「国家への忠誠」から「国家への裏切り」に転ずる動機がある。
監視員は、裏切りが発覚して、地下室で、封書の開封作業員に降格される。
これもすごい。郵便物は全て開けられ、検閲される。
この作業員に落とされて、数年で「ベルリンの壁」が崩壊する。
『善き人のためのソナタ』は、監視対象であった劇作家が、自分を国家権力に引き渡さなかった監視員に捧げた戯曲の書の題名である。
映画はここで終わるが、東ドイツ国民の苦難はここからも続く。
同じドイツ人でありながら、一段低い人々、貧しい人々として、旧西ドイツ国民から差別を受ける。
この事態は、脱北した北朝鮮の人も同じだ。そして中国残留孤児の帰国者も。