木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

社会基盤も崩す末期資本主義

2012年02月11日 | Weblog

法人税は下げろと要求するのに、消費税増税には大賛成。どんな税金も払いたくないということで一貫しているならまだわかるが、こんな財界の姿勢を見れば、「消費税」がいかに彼らにとって得な税かということがわかる。
「輸出戻し税」による還付金は消費税が増税になればなるほど増える。
法人税は売り上げから経費を差し引いた利益にかかる税で、赤字経営ならば払う必要はないが、消費税は物を売り買いすれば生じる税なので、赤字でも払わなければならない。
経団連が執拗に法人税下げを要求するのは、利益にかかる税金が少なければ、それだけ株主への配当が増えるからだ。「利益の山分け」のためである。
信濃毎日新聞9日記事では、長野を含む関東信越6県で10年度、国税滞納額のうち消費税が53・9パーセントであることを報じている。
消費税負担が中小企業の経営に重くのしかかっていることを示す数値だ。
日本の国を支えている中小業者の経営が行き詰まっていいことは何もない。
消費税論議の前に「税の応能負担」、「税の公正負担」に正面から向き合わなければ、社会保障もそうだが、社会基盤が崩れていく。
道路・水道・橋といった基本的なインフラも税収が不足すれば、補修もままならなくなる。今年の冬は大雪で各自治体の除雪費用が足りなくなっている。
それも税収の豊かな中央の自治体ではなく、疲弊した地方ほど大雪に苦しめられているのだから、弱いところにさらに追い討ちをかける「絶望列島」である。
英米流の資本主義への抵抗は左派だけのものではなくなった。
保守の論客京大大学院教授佐伯啓思は社会を脅かす市場競争として警告している(信濃毎日新聞2月8日)。
生産活動=経済活動がうまくゆくには生産の条件である「生産要素」が安定的に供給されなければならない。
すなわち雇用を確保し、資本の流れを安定化し、食糧と資源を確保し、医療や教育を保障し、人間のつながりやそのための場を確保することが不可欠である、これらは市場の土台であって、市場競争に直接さらされるべきものではない。
全てを奪いつくしては持続的な経済・生産活動は成立しない。
東日本大震災で日本は敗戦の時以来の困難な状況に見舞われている。その日本がどう回復していくのかに関して先人の経験から学ぶと
これも信濃毎日新聞の「善光寺地震にみる震災のあと」という特集記事だが、
1847年(弘化4年)5月の大地震の際、松代藩では5年間限定で18歳から64歳の人に決まった額の納付を課す「課業銭」制度を新設し、被災者支援や復興工事などに使った。これは臨時の復興税というものだろうが、当時は耕地の生産高に応じた課税が原則で頭割りで課税するのは異例のこととあった。
江戸時代は武士階級による「農民搾取」のイメージがあるが、その江戸時代でさえ、災害のためやむを得ず頭割りの税を課したが、基本は「応能負担」である。
有力者ほど多くの負担をする。それが社会を維持するための責務であった。
凶作の時など自家の米蔵を開けて、困窮した人々への炊き出しをした。そんな時に値を吊り上げるために「売り惜しみ」をしたりする業者がいれば、激しい打ちこわしにあった。
今、政府に利己的な要求ばかりする「経団連」という強欲団体が今回の震災に際し、団体として復興のために積極的に動いたという話は聞かないのだけれど・・・。

コメント
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