木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

忘れっぽさや淡白さは日本人の誇るDNAと言えるのか?

2013年01月02日 | Weblog

2013年は実に穏やかな天気で明けた。
しかしこれは穏やかな一年を意味しない。
思えば年末の総選挙の前日もそして当日も実に良い天気だった。(少なくとも長野では)。
しかし選挙の結果は恐るべきものだった。極右と新自由主義経済主義を信奉する者共に国会は占拠されてしまった。
戦前、日本が全体主義の軍事国家に転落していく大きな契機になった1932年(昭和7年)の五・一五事件。海軍の青年将校達によって「問答無用」として殺された犬養毅の孫娘美智子は、その著書の中で、「この日は日曜日で、5月のそれは澄んだ良い天気の日で、そんな血なまぐさい事件が起こるなど想像することがむつかしいほどの五月晴れだった」と書いている。
良い天気にボーッとしている間にとんでもないことが進行してしまう。
自公は圧勝したのではないという宣伝に安心するな!
総選挙後、マスコミは「自公は得票数、得票率ともに、09年の惨敗選挙と比較してもそれ程増えているわけではない」と言い訳するようになった。
野党勢力もこの事実に飛びついて、自らの惨敗から目を背けて、安心・油断しているように見える。
これこそが安倍政権と背後の応援団の狙いだ。
社共、その他、脱原発や消費増税反対、TPP反対等掲げる政治勢力は「オリーブの木」的な大同団結を組まないと、参院選でも人々を投票所に向かわせることはできない。
参院選で自公・維新を勝利させると、もう一気に憲法96条改定により、9条も変えられてしまう。
それを本気で狙っているのが今の安倍政権だ。本気だからなりふりかまわない。
だとしたらそれを阻止しようとする側も本気にならなければとても勝てない。
相手は金と権力、宣伝力を持っているし、それを使って不正義だって何だってするのだ。
拉致問題に関する安倍の相変わらずの馬鹿さ加減。
安倍が首相になって、「北朝鮮拉致被害者の家族」と面会した。
「圧力に軸足を置いて交渉する」と言う。それでこの十年何も進まなかったのではないか。その張本人が安倍だ。
馬鹿でわがままな子供のような主張だ。安倍と同レベルの馬鹿でなかったらこんなことが通用するはずがないことがわかるはずだけど。
いくら相手に非があることとはいえ、「拉致問題」に関しては家族会を始めとして、大方の日本人は思考停止状態だ。
拉致被害者の何人かが、死亡しているという、たとえそれが動かしようもない真実だとしても、「いや、北朝鮮はうそを言っている」と聞き入れないのではないかとさえ思う。
自分に都合の悪いもの、見たくないもの、聞きたくないものは「うそだ」と言って、それを認めない、それは家族会だけでなく、今の日本人全体を覆っているマインドではないかと思う。
中国に対する見かた、原発事故の現状と、原発の今後など、見たくない、聞きたくないで済めばこんな楽なことはないが。
安倍は言えばいいのだ。「私、アメリカのパシリなんです。偉そうに美しい日本だの、強靭国家だの、自主憲法だの言ってますが、アメリカが許可してくれないと拉致問題も何も解決しないんです」と。
日本人の淡白さ(忘れっぽさ)は自然が育んだ誇るべきものか?
元日の信濃毎日新聞で作家の高樹のぶ子は「アメリカに二つも原爆を落とされて、それでも恨みを忘れて、それどころがアメリカに従って行ったのは、事が決着したあとはすべて水に流すという、日本の自然が育んだ誇るべきDNAだ。だから戦後の繁栄があったのだ。中国5千年の権力闘争の歴史から来る自国民への不信感や恨をかかえたまま南北がいまだに戦争状態にある朝鮮半島の現状を思う時、日本人の本質が逆に浮かび上がってくる」と、能天気な意見をのべているが、そうじゃやないだろうと強く思った。
朝鮮が南北に分断されたのは「恨」のせいではなく、アメリカとソ連という東西大国の思惑だ。かれらは大国に否応無く引き裂かれたのだ。
その引き金になったのは日本による植民地化だ。それを水に流せとはあんまりな言いようだ。
原爆に関しても広島・長崎で被曝した人の情報は徹底的に封じ込められた。そのためにそれ以外の地域の人達はその惨状を意外なほど知らなかった。
こんにちの福島原発事故にしてからが、本当のことは他地域の人は知らない。
だから「経済のためには原発再稼働やむなし」だのと不用意・不見識な発言をする人がいるのだ。
沖縄の基地の現実も本土では報道されない。
水俣病、各種の薬害、アスベスト被害などの公害と言われる企業による健康被害、みな真実が隠され、被害に遭った人は苦しみながらも沈黙させられているだけ。
高樹さんの言うような認識だと、原発事故も企業が引き起こすような健康被害も責任を問わない流れに加担してしまう。
そして大して罪の意識無く、また同じ罪や過ちを繰り返すのでは?
今、日本はそんな岐路に立っている。

コメント (2)
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