木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

命と健康を置き去りにしている日本に「オリンピック招致」はあり得ない

2013年01月11日 | Weblog

2020年東京オリンピックは「原発廃炉」でないと招致の資格なし。
メディアでは「東京オリンピック」招致の話題がこのところのメインだが、福島第一原発の事故処理もまだ途上、他の原発もその立地の下の地層が大地震に耐えられないものではないかという疑いが立て続けにクローズアップされて来ている。
そんな危険な日本の、東京で「オリンピック」とは冗談でしょうと言いたい。
地震大国で狭い国土に54基もの原発がある、そんな危険な日本に各国の選手も役員も観客も来たくはないだろう。

次に原発立地地域で大地震が起こったら日本は終わりなのだ。わかっているのか。
津波対策の防水堤防を高くして、ごまかそうとしているが、福島の場合、津波以前に地震で配管などが壊れた可能性が高い。
東京の他にスペインのマドリード、トルコのイスタンブールが立候補しているが、スペインは深刻な経済危機が続いている。オリンピックどころではないような気がするが。
スペイン在住のジャーナリストの報告によると、スペイン経済の危機はそもそも一部の王族も含めた富裕層・特権層の国民をかえりみない、自分達だけのフトコロを潤すことばかり考えている腐敗に一番の原因があるという。
民衆による革命が起こっても不思議ではないが、ユーロの支援が辛うじてこれをまだ止めているということか。
マドリードは経済で、東京は環境で問題を抱えているので、これはイスラム圏で初のオリンピックを掲げているイスタンブールというところか。
取材では「オリンピックで元気を」という街の声を拾うが、震災、特に原発被災を置き去りにして元気はない。

処分場の選定はまず自分の選挙区から
1月5日の信濃毎日新聞に、井上信治環境副大臣が東京電力福島第一原発事故で発生した「指定廃棄物」の茨城県高萩市と栃木県矢板市を政権交代後初めて訪問の記事があった。
両市長は改めて白紙撤回を求めた。当然だろう。これに対して副大臣は「前政権が進めたことを検証して行く」などと答えるにとどまった。
処分場を選定したいという意志があるなら、まず自分の家から、そして周辺、選挙区、それがとてもできないなら他へ押し付けるべきではない。
京大原子炉実験所助手の小出裕章氏は、放射性廃棄物はまず東電の本社で引き受けるべきだと言っている。
具体的には福島第一原発、ないしは第二原発の敷地内しかない。

現在明らかになっている「原発」の問題点を既に全て描いた映画『東京原発』
猪瀬は石原の後継指名で都知事になったからと「オリンピック招致」に浮かれている場合ではない。
最も彼が本気で「オリンピック招致」を望んでいるようには見えないが。
私にはこの人はいつもどこへ立てば有利でいられるか、そればかり考えて行動しているように見える。
不利になったら真っ先に逃げる。一見要領のいい奴だが最後はその要領の良さが仇になって墓穴を掘る。
映画「東京原発」だが、脚本・監督山川元。02年に制作され、04年に公開されている。
石原慎太郎のキャラクターを彷彿とさせる都知事天馬が登場する。演じるのは役所広司なので、年齢的に石原とは違う。
東京都は赤字財政である。ここも実際とは違う。有力企業の集まる東京は大阪などと違って黒字財政だ。だから石原の暴政が許されてきた。
さてその赤字を解消するために天馬知事は局長達を集めて「東京に原発を誘致する」と宣言する。
狙いは「原発立地交付金」だ。仰天し、恐怖する局長達。
その天馬が原発誘致の説明をするために呼んでいるのが原子力委員会の某。
ところが彼は英国で再処理されたMoX燃料の輸送船が福井の港に入るのを反対派に阻止されため、それを東京のお台場から陸揚げし、トラックで福井に輸送する仕事に追われていた。
運転手として雇われたのは地方でリストラされ、上京して清掃車の運転をしている中年の男。彼は東京の地理がわからず、高速道に乗りそこなう。指定時間をせかされ、自暴自棄になった運転手は酒を飲み、暴走し、何かにぶつかって止まる。そこへ乗り込んできたのが爆破マニアの少年。彼は爆弾を仕かけた、都庁へ行けと命じる。実況中継も要求する。
さて都庁で原子力委員の某に代わって、説明に来た大学の研究者、彼が説明することは事故後、反原発や脱原発を主張する学者や技術者が説明してくれた内容そのまま。
02年で原発の危険性は充分に予見されていた。ただ大地震が起こることだけは予見できなかった。
この映画では地震ではなく、テロや爆破マニアによっても原発事故が起こることを描いている。
酒の勢いでメチャクチャな運転を続ける輸送車。障害物を跳ね飛ばしながら走る。その衝撃で少年の持っているタイマーのスイッチが入ってしまう。
時間がない。警視庁のチームが呼ばれる。しかし最後は天馬みずからドライバーを持ってタイマーの解体をするのだ。
しかし実は暴走している間に爆弾の導火線が切れてしまっていたという結末。
天馬が「東京に原発を誘致」を宣言したのは、そこから議論を巻き起こし、エネルギー問題を都民に考えてもらうためだった。
そのために天馬は秘書に大量に出る都のゴミをバイオエネルギーとして利用できないかというミッションを与えていたのだった。
今見てもこの映画少しも古くなっておらず説得力がある。

コメント
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