倉本聰脚本『やすらぎの刻』-道ーとNHK連ドラ『なつぞら』
「やすらぎー」は80才を過ぎた倉本氏の最後の?渾身の作品だ。この時間帯(テレビ朝日の昼)にリアルタイムで見ているのはほぼ高齢者だと思うが、昭和初期、主力産品である生糸の暴落で農村が疲弊していくさまが軍国主義体制に日本がなだれこんでいく歴史と相まって、倉本さんが描きたいことがびんびん伝わってくる。
予想される展開としては食べていけなくなった農民が政府の言う「満洲移民・開拓」に未来を託そうとして、結果悲惨な結末を迎え、苦難の戦後がまた始まるというような気がするが果たて・・・。
舞台は富士山も望める山梨の山村。米がとれないため養蚕が主力の産物。
この点は隣の我が長野県と事情がよく似ている。
政府と軍部は小学校で綴り方(作文)を書いて自分の現実を子供達にみつめさせようとする綴り方運動の教師を狙い撃ちする。こうして国民の目をふさぎ「軍国少年・少女」を作り上げていく。それは見事に成功していくのだ。
倉本さんはちょうどこの少年・少女の世代にあたる。自分の体験したことを伝えるその「最後の使命」を果たそうとしているようだ。
NHKの「なつぞら」の方も十勝地方の酪農の現実を描いている。酪農家が農協に集約されて乳業メーカーと交渉するのはいいのだが、多分NHKではそこまでは描かないと思うが、農協が酪農家の利益より農協そのものの利益に走るようになり、農協への借金で首が回らなくなるという問題がこの時代より20年ぐらい後に現れてくるはずだ。