*******************ストーリー*******************
かつて潜水艦で日本を救った香椎由宇ちゃんは戦後、普通の女子高生になりました。平和憲法でローレライシステムは封印されてしまいましたが、ボディにピッチリの服で水につかっていないと気持ちが落ち着かない彼女は、仕方なくスクール水着で学校のプールにぷかぷか浮いていました。なんか生きる目標見つけなきゃ・・・とぼんやりしていると、はたと思い出しました。そうだ、私は素晴らしい歌声で潜水艦乗りのみなさんを魅了したじゃないか! バンドやろう!!と思ったけど、考えてみるとあの歌声は吹き替えだったので、ギターをやることにしました。
一方、かつて大人たちが仕掛けたバトルロワイヤルから、からくも生き残った前田亜季ちゃんは、大人たちから身を隠すため地味な普通の女子高生になりました。あまりに無趣味で協調性ないと却って目立ちそうなので、部活でバンドをすることにしました。でもヴォーカルとか目立つ位置だと、安藤政信や柴崎コウに襲われたり、お姉ちゃんみたいに戦死したりしそうな気がしたのでドラムをやることにしました。
そんな二人は当然ヴォーカルを探していました。そこに現れたのが韓国から来たペ・ドゥナちゃんですが、「ほえる犬は噛まない」とか見てないので、ストーリー解説はこの辺で終わりにします。
*****************************
すごく良かった。
けど、この映画は、「良かった派」と、「面白くもなんともなかった派」にきれいに分かれるのではないかと感じる。
んで、僕も「すごく良かった」とは言っても、その良さをうまく説明できない。
誤解されたくないので、最初に言っておくと、仮にこの映画、男子高校生の物語だったとしても(この演出なら)同じくらい楽しめたと思う。もちろん男と女では描き方もストーリーも変わるから、断定はできないけど。
もう一つ言うと、僕はブルーハーツって好きじゃない。どちらかと言えば嫌いかも。でもラストで、リンダ!リンダ!と歌うとこは、最高にテンション上がりました。でもブルーハーツ好きに改宗はしない。
無駄な前置きが長くなった。いつもか。
ともかく頑張って、この映画を良さを語ろうと、努力してみたい。
*****************************
ポスターを観る
「女子高生がブルーハーツ。 ヴォーカルは韓国からの留学生?!」
タイトル「リンダ、リンダ、リンダ」
ギターやベース持ってにっこりしてる可愛い女子高生4人。
だれもが、楽しげな、山あり谷ありのストーリー、基本笑わせて、時に泣かせてみたいな、明るくテンポのいい青春熱血娯楽映画を期待するのではないだろうか? 例えば「スウィング・ガールズ」みたいな
しかし、内容はそんな映画とは全く異なる。「スウィング・ガールズ」みたいのを期待して観に行った人は激しい失望を味わうだろう。
どちらかと言えば中原俊の「桜の園」に似た感じのシリアスな青春映画なのだ。
*****************************
作品はビデオ映像から始まる。カメラ目線で、棒読みより若干上手い程度の演技で、青春について哲学っぽく語る女子高生。「カット!!」の声が響くが、カメラは回しっぱなし。カット割ったら?私、用があるんだけど。まあこれでいいでしょ。もう一回くらいやってもいいよ。いいの?・・・と方針のはっきり決まらない、いかにも学生の映画撮影なシーンが続く。
できあがった作品ではなく、それを作る過程の、観客的にはどうでもいいやり取りをありのまま描くことに時間をかける。
このファーストシーンにこの映画の二つの基本が見えている気がする。
1) 結果より過程
2) ありのまま
*****************************
この映画は、学祭の最終日にバンド演奏をすることになった女の子4人の、準備と練習の過程を淡々と描く。
ナレーションや字幕による説明が一切ないこの映画。しかも主要キャラの女の子たちは決して本心を語らない。言わば観客に対して心を閉ざす。だから細かい事情は判らない。観客の感情移入(同情)を完璧に否定する。
僕ら観客は、彼女たちの仲間にはなれず、特別仲がいいわけではないクラスメートになった気分で、映画に参加する。序盤はね。
説明的な演出を一切廃したこの映画では、主人公たちの性格の違いもはっきりとは描かれない。クローズアップも少なく、はきはきとした台詞のやり取りはなく、微妙な言い回し、言葉のくせ、言動のパターンなどから一人一人の性格を想像する他ない。性格だけではなく、物語とか設定とかもはっきりとは語らない。いつも側にいるからなんとなく判る、という程度の理解。
あえて情報量を少なくする事で、何が得られるか?
高校時代の記憶。
経験というより記憶。自分が積極的には関わらなかったクラスの行事の時に見た光景が戻ってくるような感覚。
けれど1人のキャラが、微妙ではあるが均衡を破る。さほど仲のよくないただ側にいるだけの僕を、メンバーたちに若干近づけてくれる。
ひょんなことでヴォーカルをすることになってしまった韓国からの留学生。
少々の日本語は話せるし、聞けるけれど、やはり肝心なところでは言葉が邪魔をして意思疎通が難しい。けれどキーボードとドラムとベースは所々言葉が通じなくても、流す。
観てる僕も、そもそも言葉が通じない相手ならば、本心なんか判らなくて当然と、いくらか気楽になる。言葉の解釈のすれ違いによる幾つかのコミカルなシーンを楽しむ。
そして、日本の女の子たちに興味があるのか、好奇心旺盛というか日本人的遠慮の心がないこの子は、僕の目の変わりとなって、他の三人を観察してくれる。
そして片言ながらズバっと直球で質問(ケイの元カレ?)や意見(好キッテ言ッタ方ガイイヨ)を述べ、三人の行動に微妙な勢いを付ける。
また基本喋らない三人の女の子は、韓国の子に対しては、ある程度の説明が必要不可欠となり、その説明は僕ら観客への自然な状況説明として機能する。
*****************************
この映画全体を象徴していた気がするシーン。
夜の屋上での四人のダベリ。
韓国の子に、バンドの結成から今に至る過程を説明する。即席ヴォーカルの韓国の子は僕ら観客と同様、バンドのこれまでを何も知らない。こうして数少ない設定説明のシーンは「説明的」という批判をかわし、極めて自然な形で中盤に挿入される。
「わかった?」と聞く元キーボード現ギター
「わからない」と韓国語で答えるヴォーカル。
彼女が判らなかったことが判らないまま、日本の女の子は会話を流し、別の話題に移行。一つのテーマについて熱心に語って喜ぶような子たちではないから、話題はころころ変わる。だからこそ、バンド演奏の本番という一つの目標に向けて進まざるを得ない状況が、こういうのもいいよね、と彼女たちを楽しくさせる。
ベースの子が言う。「結局本番って夢中になってるからよく覚えてないけど、こういうの(準備とか練習)って後々思い出すんだよね」うろ覚え。
だが、ドラムとギターはそうだよねぇと相づちうったりせず、その発言を茶化し、真面目に聞かない。
明快な理屈や回答なんかより、なんとなく感覚で生きて行く学生たち。
*****************************
やがて本番が近づく。
韓国の女の子は1人で無人の体育館のステージに立ち、メンバー紹介を始める。彼女なりの知識でメンバーの性格を説明し、何よりメンバーたちへの愛というか、バンドに参加できて幸せだったという思いが溢れている。
けれど他の三人は、終盤に少々の青春模様も見せるが、やっぱりそれについて特に語ろうとしない。他のメンバーも必要以上に立ち入らない。観客と距離を置く女の子たち。
*****************************
掛け替えのない時間と何年も後になって思うであろう数日間はラストの「リンダ、リンダ」の熱唱で幕を閉じる。
僕はがっかりしたのだ。
映画の内容にではない。音楽の技術とかでもない
本番の演奏が終わってしまったことに。ついに映画が終わってしまったことに。
そう言えば、学生の時、仲間たちと映画を作っていた時、いつまでもクランクアップしなければいいのに、と思った。
そして、ああ終わっちまった・・・という脱力感。
その感覚がよみがえってきた。
四人の女の子たちの、練習期間がいつまでも続けばいいのに・・と
序盤、ただの傍観者としてのスタンスを余儀なくされていた僕は、いつの間にか彼女たちのバンド練習に参加していた。
*****************************
そんな、学祭の楽しい雰囲気と、とりあえずの目標に向けて頑張っている姿を描きつつ、説明せず、語らず、大したことは起こらず、問題は解決せずといった具合に、あらゆる虚飾を廃してありのままに再構築したのが本作だ。全てが明快な娯楽ドラマにはない現実感がある。
「密着!!高校生バンド練習ルポ」って感じで、本当ならドキュメンタリーが一番いいのだろうが、当然ドキュメンタリーというものは監督のコントロールが完璧には効かない。ねらった通りの展開にはならないし、しかも本心をひたすら隠す高校生たちはカメラを向けられたら自然な反応はしないだろう。
だから、劇映画として、あたかもドキュメンタリーのように再構築したのだろう。
*****************************
・・・で、問題となるのは、はい、高校時代を再現しました。で? だから何?
と思う人が少なくないだろう、ということ。個人的には大好きな映画だが、間違いなく万人受けはしないと思われる。
この映画、あまりに想像力の働く余地が広く、個人的な感慨がでかすぎる。
だから最初に書いたように意見が分かれるように思える。
●いや、再現する事がすごいし、面白いんだよ、っていう人
●再現はいいけど、なんかメッセージとかないの?ハラハラドキドキとか、感動とかさ?、っていう人
の二つに・・・
*****************************
ま、とにもかくにも、かなりお気に入りの本作。
ですが、映画と関係ないところで、文句がある。
バンドの四人。ペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織の四人が実際にバンド組んでCD発売だって。それはやりすぎです。誰も君たちに音楽的センスなんか求めてないよ(関根史織はベーシストが本職だからいいけど)。欲張らず女優に専念してくれ
*****************************
夢のシーンのヘンテコリンなセンス。僕は笑ったけど、は? って人も多いだろうな。
夢と言えば、トイレで韓国語と日本語で語り、完璧に意思が通じ合っていたあのシーン。ほんとはこんな風に心通わせたいんだ・・っていう香椎由宇の願望が見せた夢だったと解釈してます。
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
かつて潜水艦で日本を救った香椎由宇ちゃんは戦後、普通の女子高生になりました。平和憲法でローレライシステムは封印されてしまいましたが、ボディにピッチリの服で水につかっていないと気持ちが落ち着かない彼女は、仕方なくスクール水着で学校のプールにぷかぷか浮いていました。なんか生きる目標見つけなきゃ・・・とぼんやりしていると、はたと思い出しました。そうだ、私は素晴らしい歌声で潜水艦乗りのみなさんを魅了したじゃないか! バンドやろう!!と思ったけど、考えてみるとあの歌声は吹き替えだったので、ギターをやることにしました。
一方、かつて大人たちが仕掛けたバトルロワイヤルから、からくも生き残った前田亜季ちゃんは、大人たちから身を隠すため地味な普通の女子高生になりました。あまりに無趣味で協調性ないと却って目立ちそうなので、部活でバンドをすることにしました。でもヴォーカルとか目立つ位置だと、安藤政信や柴崎コウに襲われたり、お姉ちゃんみたいに戦死したりしそうな気がしたのでドラムをやることにしました。
そんな二人は当然ヴォーカルを探していました。そこに現れたのが韓国から来たペ・ドゥナちゃんですが、「ほえる犬は噛まない」とか見てないので、ストーリー解説はこの辺で終わりにします。
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すごく良かった。
けど、この映画は、「良かった派」と、「面白くもなんともなかった派」にきれいに分かれるのではないかと感じる。
んで、僕も「すごく良かった」とは言っても、その良さをうまく説明できない。
誤解されたくないので、最初に言っておくと、仮にこの映画、男子高校生の物語だったとしても(この演出なら)同じくらい楽しめたと思う。もちろん男と女では描き方もストーリーも変わるから、断定はできないけど。
もう一つ言うと、僕はブルーハーツって好きじゃない。どちらかと言えば嫌いかも。でもラストで、リンダ!リンダ!と歌うとこは、最高にテンション上がりました。でもブルーハーツ好きに改宗はしない。
無駄な前置きが長くなった。いつもか。
ともかく頑張って、この映画を良さを語ろうと、努力してみたい。
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「女子高生がブルーハーツ。 ヴォーカルは韓国からの留学生?!」
タイトル「リンダ、リンダ、リンダ」
ギターやベース持ってにっこりしてる可愛い女子高生4人。
だれもが、楽しげな、山あり谷ありのストーリー、基本笑わせて、時に泣かせてみたいな、明るくテンポのいい青春熱血娯楽映画を期待するのではないだろうか? 例えば「スウィング・ガールズ」みたいな
しかし、内容はそんな映画とは全く異なる。「スウィング・ガールズ」みたいのを期待して観に行った人は激しい失望を味わうだろう。
どちらかと言えば中原俊の「桜の園」に似た感じのシリアスな青春映画なのだ。
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作品はビデオ映像から始まる。カメラ目線で、棒読みより若干上手い程度の演技で、青春について哲学っぽく語る女子高生。「カット!!」の声が響くが、カメラは回しっぱなし。カット割ったら?私、用があるんだけど。まあこれでいいでしょ。もう一回くらいやってもいいよ。いいの?・・・と方針のはっきり決まらない、いかにも学生の映画撮影なシーンが続く。
できあがった作品ではなく、それを作る過程の、観客的にはどうでもいいやり取りをありのまま描くことに時間をかける。
このファーストシーンにこの映画の二つの基本が見えている気がする。
1) 結果より過程
2) ありのまま
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この映画は、学祭の最終日にバンド演奏をすることになった女の子4人の、準備と練習の過程を淡々と描く。
ナレーションや字幕による説明が一切ないこの映画。しかも主要キャラの女の子たちは決して本心を語らない。言わば観客に対して心を閉ざす。だから細かい事情は判らない。観客の感情移入(同情)を完璧に否定する。
僕ら観客は、彼女たちの仲間にはなれず、特別仲がいいわけではないクラスメートになった気分で、映画に参加する。序盤はね。
説明的な演出を一切廃したこの映画では、主人公たちの性格の違いもはっきりとは描かれない。クローズアップも少なく、はきはきとした台詞のやり取りはなく、微妙な言い回し、言葉のくせ、言動のパターンなどから一人一人の性格を想像する他ない。性格だけではなく、物語とか設定とかもはっきりとは語らない。いつも側にいるからなんとなく判る、という程度の理解。
あえて情報量を少なくする事で、何が得られるか?
高校時代の記憶。
経験というより記憶。自分が積極的には関わらなかったクラスの行事の時に見た光景が戻ってくるような感覚。
けれど1人のキャラが、微妙ではあるが均衡を破る。さほど仲のよくないただ側にいるだけの僕を、メンバーたちに若干近づけてくれる。
ひょんなことでヴォーカルをすることになってしまった韓国からの留学生。
少々の日本語は話せるし、聞けるけれど、やはり肝心なところでは言葉が邪魔をして意思疎通が難しい。けれどキーボードとドラムとベースは所々言葉が通じなくても、流す。
観てる僕も、そもそも言葉が通じない相手ならば、本心なんか判らなくて当然と、いくらか気楽になる。言葉の解釈のすれ違いによる幾つかのコミカルなシーンを楽しむ。
そして、日本の女の子たちに興味があるのか、好奇心旺盛というか日本人的遠慮の心がないこの子は、僕の目の変わりとなって、他の三人を観察してくれる。
そして片言ながらズバっと直球で質問(ケイの元カレ?)や意見(好キッテ言ッタ方ガイイヨ)を述べ、三人の行動に微妙な勢いを付ける。
また基本喋らない三人の女の子は、韓国の子に対しては、ある程度の説明が必要不可欠となり、その説明は僕ら観客への自然な状況説明として機能する。
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この映画全体を象徴していた気がするシーン。
夜の屋上での四人のダベリ。
韓国の子に、バンドの結成から今に至る過程を説明する。即席ヴォーカルの韓国の子は僕ら観客と同様、バンドのこれまでを何も知らない。こうして数少ない設定説明のシーンは「説明的」という批判をかわし、極めて自然な形で中盤に挿入される。
「わかった?」と聞く元キーボード現ギター
「わからない」と韓国語で答えるヴォーカル。
彼女が判らなかったことが判らないまま、日本の女の子は会話を流し、別の話題に移行。一つのテーマについて熱心に語って喜ぶような子たちではないから、話題はころころ変わる。だからこそ、バンド演奏の本番という一つの目標に向けて進まざるを得ない状況が、こういうのもいいよね、と彼女たちを楽しくさせる。
ベースの子が言う。「結局本番って夢中になってるからよく覚えてないけど、こういうの(準備とか練習)って後々思い出すんだよね」うろ覚え。
だが、ドラムとギターはそうだよねぇと相づちうったりせず、その発言を茶化し、真面目に聞かない。
明快な理屈や回答なんかより、なんとなく感覚で生きて行く学生たち。
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やがて本番が近づく。
韓国の女の子は1人で無人の体育館のステージに立ち、メンバー紹介を始める。彼女なりの知識でメンバーの性格を説明し、何よりメンバーたちへの愛というか、バンドに参加できて幸せだったという思いが溢れている。
けれど他の三人は、終盤に少々の青春模様も見せるが、やっぱりそれについて特に語ろうとしない。他のメンバーも必要以上に立ち入らない。観客と距離を置く女の子たち。
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掛け替えのない時間と何年も後になって思うであろう数日間はラストの「リンダ、リンダ」の熱唱で幕を閉じる。
僕はがっかりしたのだ。
映画の内容にではない。音楽の技術とかでもない
本番の演奏が終わってしまったことに。ついに映画が終わってしまったことに。
そう言えば、学生の時、仲間たちと映画を作っていた時、いつまでもクランクアップしなければいいのに、と思った。
そして、ああ終わっちまった・・・という脱力感。
その感覚がよみがえってきた。
四人の女の子たちの、練習期間がいつまでも続けばいいのに・・と
序盤、ただの傍観者としてのスタンスを余儀なくされていた僕は、いつの間にか彼女たちのバンド練習に参加していた。
*****************************
そんな、学祭の楽しい雰囲気と、とりあえずの目標に向けて頑張っている姿を描きつつ、説明せず、語らず、大したことは起こらず、問題は解決せずといった具合に、あらゆる虚飾を廃してありのままに再構築したのが本作だ。全てが明快な娯楽ドラマにはない現実感がある。
「密着!!高校生バンド練習ルポ」って感じで、本当ならドキュメンタリーが一番いいのだろうが、当然ドキュメンタリーというものは監督のコントロールが完璧には効かない。ねらった通りの展開にはならないし、しかも本心をひたすら隠す高校生たちはカメラを向けられたら自然な反応はしないだろう。
だから、劇映画として、あたかもドキュメンタリーのように再構築したのだろう。
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・・・で、問題となるのは、はい、高校時代を再現しました。で? だから何?
と思う人が少なくないだろう、ということ。個人的には大好きな映画だが、間違いなく万人受けはしないと思われる。
この映画、あまりに想像力の働く余地が広く、個人的な感慨がでかすぎる。
だから最初に書いたように意見が分かれるように思える。
●いや、再現する事がすごいし、面白いんだよ、っていう人
●再現はいいけど、なんかメッセージとかないの?ハラハラドキドキとか、感動とかさ?、っていう人
の二つに・・・
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ま、とにもかくにも、かなりお気に入りの本作。
ですが、映画と関係ないところで、文句がある。
バンドの四人。ペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織の四人が実際にバンド組んでCD発売だって。それはやりすぎです。誰も君たちに音楽的センスなんか求めてないよ(関根史織はベーシストが本職だからいいけど)。欲張らず女優に専念してくれ
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夢のシーンのヘンテコリンなセンス。僕は笑ったけど、は? って人も多いだろうな。
夢と言えば、トイレで韓国語と日本語で語り、完璧に意思が通じ合っていたあのシーン。ほんとはこんな風に心通わせたいんだ・・っていう香椎由宇の願望が見せた夢だったと解釈してます。
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
僕は、むしろ「高校生活」っていう大多数のノスタルジーを喚起できる舞台を設定している時点で、(実際にこういう状況を体験したかどうかは関係なく)何も考えずに「イイ!」と受け取ってしまう人が多いんではないかなと、思いました。
ネット上の肯定否定集計が終わったら是非追記しておいて下さいな。楽しみにしてます(笑)
屋上のシーン、ソンさんは「わからなかった」と過去形で応えてたのに、何故字幕は現在形にしたのか謎なんです。
本当の生活ってこんなふうに淡々としているんですよね。
結果じゃなくて過程をリアルに誠実に描いている映画だと思います。
しんさんは自主映画を作っていらっしゃるんですね。だったらこの山下監督の「リアリズムの宿」はかなりつぼにはまる作品だと思います。
くやしいので、本文読まずにコメントです(笑)。
自分はこの映画の自然体なところがすごく好きですね。
ホント自分もあの空間にいるような感じで見てたので、
映画が終わった瞬間、すごく寂しさを感じました。
こんな気持ちになる映画なんて、めったにないですよね。。。
こちらの映画評を拝見して
私の言いたいこと、思っていることを
表現してくださっていると
うなりました
そう、そうそういうこと・・・ってね
TBつけさせていただきますね
わたしは、すっごくよかったとまではいかないけど、じわじわきいてくる映画に思えました。おおげさなお涙ちょうだいものにはないよさですね。
自分のブログには書かなかったけど、あの夢のシーンはかなり笑えました。
ビデオ撮影している学生スタッフ、助監督の役みたいなところ、妙にリアルでおかしかった。現場でもあんな感じなことがあるような気がして。
「嫌いじゃないけど、すきじゃない」っていうの、高校時代にはあったなー。(爆)
我々観客と最も近い立場で他の登場人物を見つめていました。
「結果より過程」なるほど。
山下監督の作品はそれに徹しているように感じます。
「日本のカウリスマキ」とか言われていたけど、
それが良いかどうかは別問題として本作でそれは払拭したかな?
うーん、でもそれはやっぱりノスタルジーなんだとすると、現役高校生には受けないのかな?と、ちょっと思います。
>かのん様
過去形についてですが
電話の時「あ、山田さんですか?鈴木です。***の件で電話しました」ってのと一緒じゃないかなと・・・
>marioさま
リアリズムの宿って、去年映画芸術とかでかなり評価されてて、それで今回観ようと思ったのです。リアリズムの宿、観たいなあ
>にら様
こちらも文化果つる地であります。上京して観てきたのであります。へへへ
>yaxyさま
自然さを構築するって凄いと思って、自分じゃできそうもない演出の映画が私のベストに来ます。
>マーさま
僕もライブのシーンで泣きそうになりました。
>(ーε・)ヾさま
あの夢のシーン、わけ判んなさが最高でしたね。
手?武道館?ピエール?なんじゃこりゃって夢に決まってるけど
>あかん隊さま
ビデオ撮影は、自分を観てるような気が少し・・こんなんじやいかんな・・と
>現象さま
むこうを「フィンランドの山下」と呼ばしてやりたいです