「俺たちは歴史の辻褄あわせをしてきただけじゃないのか?」
・・・とラスト近くで、江口洋介が言う。それがこの映画の脚本の決定的な問題点なのでは・・・
歴史っていうかストーリーの辻褄あわせに終始して、エンターテインメントにすることを怠った。
戦国自衛隊なんて企画では、「まずストーリーがあって、その中に見せ場を作る」・・ではダメなんだ。「まず見せ場があって、ストーリーをこじつける」こっちの方が楽しくなる。そう考えると、原作リライトを小説家に依頼するという企画の進め方がダメだったのかな・・・という気がする。
私の大好きな前作(?)では、歴史への介入など知ったことかと言わんばかりに、千葉ちゃんは武田信玄の首をはねた。タイムスリップの理由、一切説明なし。武田軍団VS自衛隊の壮絶大会戦! ストーリー?知るか? JACの連中で大騒ぎしたかっただけだよ!!・・・みたいな、見ごたえ充分な豪快なダメっぷりが良かった。
今作はSF作家の悪い癖で、ごちゃごちゃと理屈並べてそれっぽくしようとしたため、そのために時間を割きすぎたのではないか。
おかげで見せ場を見せ場とするためのシナリオ運びが疎かになった。壮絶なハズの合戦シーンは、まるで大河ドラマ総集編のズタズタカットを見てる様。予告編で観た幾つかのかっこよさげな戦闘シーンは、長い戦闘シーンの一部ではなく、それだけで独立したシーン。盛り上がりません。
自衛隊全面協力の割りに、機体数少なすぎなんだから、ヘリ一機、戦車一台ごとに破壊されるまでのドラマやサスペンスを与えるべし。
シーンが変わってヘリ登場、撃破、はい終わり、が許されるのは、数十機のヘリ入り乱れて戦闘する設定の場合だけです。
監督の手塚昌明。彼の「ゴジラ」は面白かった。特に「ゴジラ×メカゴジラ」漫画みたいな恥ずかしい台詞全開で反目、苦悩しまくる自衛隊員。昔のロボアニメ並みのドラマチック過剰さ加減。あの映画を撮った監督なら、見せ場作りは心得てると思ったのだけど・・・
原作か脚本が監督以上に力を持ってしまったため、ボロボロな映画になったと思いたい。手塚昌明節という気がしたのは、崖っぷちに立たされた人間がヤケクソになるところ(ゴジラでも見た様な気がする)。今作では生瀬勝久扮する森の玉砕覚悟の啖呵きりなど。泣くとか燃えるとかでなく、どっちかっていうと笑うところですが・・・
タイムリミットの設定とか、世界崩壊なんて無駄にスケールのでかい基本ラインとか・・・面白いシナリオにするための仕掛けは上々だったのに
オープニングの、考える余裕もない怒涛(すぎる)展開とかも良かったのだが・・・
***************************
音楽もダメ。時代性を感じさせるパーカッションはいいのだが、厚みのないストリングスがメインでどうにもゆるい。手塚監督が撮ったゴジラ3作では大島ミチルが壮大なシンフォニー書いて盛り上げたのに・・・メカゴジラのテーマの勇壮さ、ゴジラテーマの伊福部とは違う重厚さ。日本にこんな凄い作曲家がいたのか!!と驚いたものだった。なのに、なんで今回ミチル女史に依頼しなかったのか・・・いいコンビだったのに。
***************************
北村一輝さんのおかげで少し楽しめました。
この人の芸風と戦国・・・すごくあってる。
「あずみ2」で溜まったイライラを一気に発散?
平成の世で江口に会いに来る侍。かなり笑えました。
「未来は世の人の希望にございます!!」
一輝さんが言うとすごく胡散臭い。中盤の「一輝、裏切るの巻」は、彼の実力全開でした。
***************************
ラストもあんまりひどかったので、自分なりに考えてみました。
ラスト、俺ならこうした・・・?
渦の中に飛び込むヘリ。
爆弾の計器が狂って、やったー、と喜ぶヘリの中の人々。
着陸した彼らを待ち構えていたのは自衛官でなく、坂本竜馬や桂小五郎・・・(新撰組でもペリー艦隊でもいいけど)
To Be Continue!
ラスト、俺ならこうした・・・?
信長がいなくなると、歴史が狂う!!ならば、俺が信長となり修羅の道を進もう!!と江口洋介が大決心。現代に帰った鈴木京香が歴史の教科書を開くと信長の肖像が江口洋介っぽい顔になっている・・・
(ついでに北村一輝の役名を七兵衛でなく十兵衛に変えまして、彼が後に明智光秀となり本能寺で江口を討つ・・・と)
***************************
最後に、映画の評でも感想でもなく、タイムスリップ型ストーリーについて思うところ
タイムスリップものって、歴史を変えちゃう話が多いですよね。
個人的にはそういうの好きじゃない。過去を変えたら、その過去の延長にある未来に生きる人たちの記憶も変わり、物語スタート時の前提が崩れる(だからって、そういう映画は全部嫌いってわけじゃない。バック・トゥ・ザ・フューチャーは大好きさ)。
僕が好きなタイムスリップものは、初期ドラえもんにあったこんなエピソードのようなもの
のび太のパパが、昔、白百合のような女の子にチョコレートをもらったと思い出を話し、のび太とドラはその娘の写真を撮りに行こうとタイムマシンで過去へ行く。そして色々あって、結局パパの思い出の白百合のような女の子の正体は女装したのび太だった・・・というもの
戦国自衛隊1549ではやたらと「歴史の修復作用」なる台詞が出てきたが、何の説明にもなっていない(別に説明なんか聞きたくないし、下手に説明しないのが良かったとは思うけど)。
人間がどんなに過去をいじくろうともがいても、歴史の圧倒的な力の前には人間はひたすら無力・・・という藤子F型タイムスリップストーリーの方が、僕的にはしっくりきます。(ドラえもんのタイムマシンネタも、連載が進むにつれ、やがて「歴史を変える型ストーリー」に変異していったけどね)
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
・・・とラスト近くで、江口洋介が言う。それがこの映画の脚本の決定的な問題点なのでは・・・
歴史っていうかストーリーの辻褄あわせに終始して、エンターテインメントにすることを怠った。
戦国自衛隊なんて企画では、「まずストーリーがあって、その中に見せ場を作る」・・ではダメなんだ。「まず見せ場があって、ストーリーをこじつける」こっちの方が楽しくなる。そう考えると、原作リライトを小説家に依頼するという企画の進め方がダメだったのかな・・・という気がする。
私の大好きな前作(?)では、歴史への介入など知ったことかと言わんばかりに、千葉ちゃんは武田信玄の首をはねた。タイムスリップの理由、一切説明なし。武田軍団VS自衛隊の壮絶大会戦! ストーリー?知るか? JACの連中で大騒ぎしたかっただけだよ!!・・・みたいな、見ごたえ充分な豪快なダメっぷりが良かった。
今作はSF作家の悪い癖で、ごちゃごちゃと理屈並べてそれっぽくしようとしたため、そのために時間を割きすぎたのではないか。
おかげで見せ場を見せ場とするためのシナリオ運びが疎かになった。壮絶なハズの合戦シーンは、まるで大河ドラマ総集編のズタズタカットを見てる様。予告編で観た幾つかのかっこよさげな戦闘シーンは、長い戦闘シーンの一部ではなく、それだけで独立したシーン。盛り上がりません。
自衛隊全面協力の割りに、機体数少なすぎなんだから、ヘリ一機、戦車一台ごとに破壊されるまでのドラマやサスペンスを与えるべし。
シーンが変わってヘリ登場、撃破、はい終わり、が許されるのは、数十機のヘリ入り乱れて戦闘する設定の場合だけです。
監督の手塚昌明。彼の「ゴジラ」は面白かった。特に「ゴジラ×メカゴジラ」漫画みたいな恥ずかしい台詞全開で反目、苦悩しまくる自衛隊員。昔のロボアニメ並みのドラマチック過剰さ加減。あの映画を撮った監督なら、見せ場作りは心得てると思ったのだけど・・・
原作か脚本が監督以上に力を持ってしまったため、ボロボロな映画になったと思いたい。手塚昌明節という気がしたのは、崖っぷちに立たされた人間がヤケクソになるところ(ゴジラでも見た様な気がする)。今作では生瀬勝久扮する森の玉砕覚悟の啖呵きりなど。泣くとか燃えるとかでなく、どっちかっていうと笑うところですが・・・
タイムリミットの設定とか、世界崩壊なんて無駄にスケールのでかい基本ラインとか・・・面白いシナリオにするための仕掛けは上々だったのに
オープニングの、考える余裕もない怒涛(すぎる)展開とかも良かったのだが・・・
***************************
音楽もダメ。時代性を感じさせるパーカッションはいいのだが、厚みのないストリングスがメインでどうにもゆるい。手塚監督が撮ったゴジラ3作では大島ミチルが壮大なシンフォニー書いて盛り上げたのに・・・メカゴジラのテーマの勇壮さ、ゴジラテーマの伊福部とは違う重厚さ。日本にこんな凄い作曲家がいたのか!!と驚いたものだった。なのに、なんで今回ミチル女史に依頼しなかったのか・・・いいコンビだったのに。
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北村一輝さんのおかげで少し楽しめました。
この人の芸風と戦国・・・すごくあってる。
「あずみ2」で溜まったイライラを一気に発散?
平成の世で江口に会いに来る侍。かなり笑えました。
「未来は世の人の希望にございます!!」
一輝さんが言うとすごく胡散臭い。中盤の「一輝、裏切るの巻」は、彼の実力全開でした。
***************************
ラストもあんまりひどかったので、自分なりに考えてみました。
ラスト、俺ならこうした・・・?
渦の中に飛び込むヘリ。
爆弾の計器が狂って、やったー、と喜ぶヘリの中の人々。
着陸した彼らを待ち構えていたのは自衛官でなく、坂本竜馬や桂小五郎・・・(新撰組でもペリー艦隊でもいいけど)
To Be Continue!
ラスト、俺ならこうした・・・?
信長がいなくなると、歴史が狂う!!ならば、俺が信長となり修羅の道を進もう!!と江口洋介が大決心。現代に帰った鈴木京香が歴史の教科書を開くと信長の肖像が江口洋介っぽい顔になっている・・・
(ついでに北村一輝の役名を七兵衛でなく十兵衛に変えまして、彼が後に明智光秀となり本能寺で江口を討つ・・・と)
***************************
最後に、映画の評でも感想でもなく、タイムスリップ型ストーリーについて思うところ
タイムスリップものって、歴史を変えちゃう話が多いですよね。
個人的にはそういうの好きじゃない。過去を変えたら、その過去の延長にある未来に生きる人たちの記憶も変わり、物語スタート時の前提が崩れる(だからって、そういう映画は全部嫌いってわけじゃない。バック・トゥ・ザ・フューチャーは大好きさ)。
僕が好きなタイムスリップものは、初期ドラえもんにあったこんなエピソードのようなもの
のび太のパパが、昔、白百合のような女の子にチョコレートをもらったと思い出を話し、のび太とドラはその娘の写真を撮りに行こうとタイムマシンで過去へ行く。そして色々あって、結局パパの思い出の白百合のような女の子の正体は女装したのび太だった・・・というもの
戦国自衛隊1549ではやたらと「歴史の修復作用」なる台詞が出てきたが、何の説明にもなっていない(別に説明なんか聞きたくないし、下手に説明しないのが良かったとは思うけど)。
人間がどんなに過去をいじくろうともがいても、歴史の圧倒的な力の前には人間はひたすら無力・・・という藤子F型タイムスリップストーリーの方が、僕的にはしっくりきます。(ドラえもんのタイムマシンネタも、連載が進むにつれ、やがて「歴史を変える型ストーリー」に変異していったけどね)
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
>ヘリ一機、戦車一台ごとに破壊されるまでのドラマやサスペンスを与えるべし。
まさにその通りだと思います。
「ラスト、俺ならこうした・・・?」もオモシロかったです。
「徒然雑草」のtkrと申します。http://diarynote.jp/d/29346/
「こんなに宣伝している映画(=今、一番面白い映画)なのに、つまらないね。やっぱ、邦画ってダメだね」って思われないことを切に願います。
また寄らせていただきたいと思います。
わたしも自主制作映画かじってます。
ご参考。下から読んでください。
http://diarynote.jp/d/29346/_1_10.html
いいですねぇ・・・
戻ってみると日本はまだ鎖国状態だったら、びっくりするだろうなぁ・・・
教科書の織田信長が青島刑事くらいに変わればどうでしょう・・・・って織田のシャレじゃつまんないかぁ。
ラスト変えてしまうの、なかなか名案ですね。
よほど脚本化がダメダメに思えたのでしょう?
私もです。
ラスト②、江口っぽい信長、オモロいですね~。でも、去年大河で、竜馬として見てきたから、カン違いするかも~。
教科書めくったら、江口!(笑)
鈴木京香もビックリ!
①も②もイケてますね!
この映画より全然おもしろいですよ~!!
この案映画化してほしいなぁ^^
あのだらだらしたラストはちょっと・・・だったもんで
>tkr様
やっぱ邦画ってダメね・・・って思う映画が今年は多い気が・・「あずみ2」「阿修羅城」
>kossy様
来た。駄洒落好き。
じゃあ武田信玄は武田真治
秀吉は・・・羽柴秀吉(選挙によく出る人)
>あかん隊様
あのデキでは2はのぞめないかと・・・
>うぞきあ様
ほんとに脚本ひどかったですよね。予算とかスケジュールとか色々制約あって仕方なかったのかもしれないですが
>aq99様
うーん、だったら、戦国時代に残った鹿島さんが、その後土佐にわたり、坂本家に婿入りして・・・だんだんややこしくなってきた
>優みゃ☆様
この映画の冒頭の時点で、教科書めくったら鹿賀丈史だったのかなぁ。肖像画のバックにヘリコプター飛んでて。
でもそれだとパート2にまた江口氏が出てくるからNGかなあ。
クレヨンしんちゃんのあっぱれ戦国大合戦の方が数百倍泣けましたよ~(笑)。
結局自衛隊(=本物)の協力をいくら受けても、
映画の面白さとは関係ないっておもっちゃいました。