なんと感動的に笑える映画なんだろう。私が愛してやまない「バトル・ロワイアル2」の監督の新作ということで過剰な期待をしていたが、期待通りの凄まじい作品であった。思えばBR2はBR1よりも過激な内容であったにもかかわらず、前作の上映禁止運動まで含めた社会現象(結果的にはいい宣伝になった)と比べると、マスコミから黙殺に近い扱いを受け(クランクイン直後の親父が亡くなった時を除いて)、健太監督は下手したら映画界からほされるんではないかと心配したものだが、杞憂にすぎなかったようだ。低予算ながらも健太節は絶好調で、やはり血は争えんなと、「蒲田行進曲」を除く欣二監督の角川映画とか、欣二監督のSF映画とかを思い出しながら楽しく鑑賞させていただいた。
B級娯楽映画を、僕は愛を込めて「バカ映画」と呼び、そういう映画が得意な監督たちを「バカ監督」と呼ぶ事にしている。そういう意味で深作健太先生はまぎれもなくバカ映画の若きバカ巨匠である。
色々と感動的なポイントを語ってみたい
・超説明的台詞
ナレーションかと思うくらいめちゃくちゃ説明的な台詞をはく登場人物たち。しかもかなり美しい映像をバックに語るものだから、「わざとらしい」とか「ひどい台詞回し」とか思うより早く、ブブッと吹き出してしまう。
「私ね手術を受けることにしたんだ。~中略~ でもね、ほんとは少し怖いの」(黒木メイサさん)
台詞に頼らずまともに演出で表現しようとすると何十分もかかるヒロインの心理を、台詞の力で30秒で説明!!
「なんていう荒々しい色使い。これが彼の本当の心」(うろ覚えだけど 岸田今日子さん)
絵だけで充分心象は表現できそうだが、ターゲット客層の偏差値を低めに設定しているのか、死ぬほど丁寧な解説付き。「世界の名画」とかそんな番組みたい
「心臓が子供くらいの大きさしかないから助かったんだ」(松尾スズキさん)
だから何?と思ったが、無駄な描写などしない健太監督。ちゃんと終盤の伏線になってた。
・ドンちゃんは多重人格?
常にランニングシャツで、時々リヤカー引いてたりキャラの掴めないドンちゃん。刑務所を脱走するやいなやどこで手に入れたのか病的なファッションセンスのスタジャンを着用。まあ、そんなところは別にいいのだ。とにかく彼の描く絵がすごい。
タッチ変わりすぎ!!
まるで4~5人の人格が入れ替わり立ち替わりドンちゃんに絵筆を運ばせているかのように、あまりに系統の異なる様々な絵を披露。で、エンドクレジット見たらやっぱり4~5人の画家が書いてんだもん
まあ、念力使うわ、心臓は子供にぴったりサイズだわ、国籍不明だわ、深作流仁義なき世界にもさらっと飛び込むわ、我ら常人とは比較にならないくらい複雑な精神の持ち主なんだろうが
・説明省いて感動最前線に強行突入
ストーリーに必要ない描写を極力さけているような健太映画だが、反面必要なことを省くのは大得意。説明なしでいきなり"感動"の展開に突入させるのが大好き。
「BR2」における竹内力の「トラーーーイ!!!」は未来永劫語り継いでいきたい名シーンであった。
ま、前作よりだいぶ落ち着いた作風ではあるものの、今回も山本太郎と窪塚洋介の関係性の激変なども楽しめる。あるシーンではドンに手を出すんじゃねえ!!とか言っといて、次に会った時、明らかにドンを殺そうとしていた窪塚に、お前があいつをどうしようと知ったことじゃねえ、と語る。太郎憤死のシーンの唐突ぶりもなかなかの無駄な感動シーンとして映画を盛り上げる。
ドンちゃんの臓器は誰の同意で摘出されたのか疑問を感じるが、そんな説明はすっ飛ばしてラストの窪塚絶叫の"号泣のラスト(え?)"へと強行突入していくのも健太節だ!!
・反米かつハリウッド愛
前作において熱過ぎて笑えるくらいの反米思想を絶叫していた健太監督。一方でアメリカ映画の影響と愛は隠しきれず、前作では"プチ・プライベート・ライアン"を披露してくれた健太監督。今作では何をするか・・・それはクライマックスに用意されていた。
燃え盛る小屋。煙は出ず赤い炎ばかりがぼうぼう。時々景気付けに爆発する可燃性の薬品か燃料か塗料かなんか知らんがろくでもない液体の入った一斗缶。足場が崩れ炎の中に落ちそうになるドンを救うため必死で腕を延ばす鉄也。
そう、今回は"プチ・バックドラフト"である。
プライベート・ライアンの1000人くらいでの上陸作戦を40人に縮小したBR2に続き、バックドラフトの巨大工場での火災を二階建てくらいの小屋に縮小する。そういえば親父は「スター・ウォーズ」に対抗して「宇宙からのメッセージ」を撮っていたっけ・・・
・・・などなど。
きっとBR2同様、世間一般的には、駄作とか、つまんねえとか、わけわかんねとか、親父だったらもっととか、色んな貶され方する映画なんだろうけど、私は心の底から楽しめました。
角川が久々に佐藤純や(←漢字出てこない)とのタッグを復活させたことだし、角川映画のもう一人の立役者だった親父のことでも持ち出して角川映画を動かし、無駄に金ばかりかけた大味娯楽時代劇またはハリウッドスターも担ぎだすスケールばかり無駄にでかいSF映画とか撮ってくれないかな。
窪塚洋介、エディソン・チャン、山本太郎のバカっぽく熱い演技を見るだけでも1800円の価値あり。
黒木メイサは・・・ま、がんばって
ところで、エディソン・チャンってインファナル・アフェアのトニーだっけ?アンディだっけ? しょーじき区別つかんのよね、あの2人(2人ってチャンとユーね)。
アジア圏有望株の濃厚俳優ゆえ、ちゃんと見直して識別できるようにしておこう。
そのうちエディチャンとかへんな省略で呼ばれるかも
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
B級娯楽映画を、僕は愛を込めて「バカ映画」と呼び、そういう映画が得意な監督たちを「バカ監督」と呼ぶ事にしている。そういう意味で深作健太先生はまぎれもなくバカ映画の若きバカ巨匠である。
色々と感動的なポイントを語ってみたい
・超説明的台詞
ナレーションかと思うくらいめちゃくちゃ説明的な台詞をはく登場人物たち。しかもかなり美しい映像をバックに語るものだから、「わざとらしい」とか「ひどい台詞回し」とか思うより早く、ブブッと吹き出してしまう。
「私ね手術を受けることにしたんだ。~中略~ でもね、ほんとは少し怖いの」(黒木メイサさん)
台詞に頼らずまともに演出で表現しようとすると何十分もかかるヒロインの心理を、台詞の力で30秒で説明!!
「なんていう荒々しい色使い。これが彼の本当の心」(うろ覚えだけど 岸田今日子さん)
絵だけで充分心象は表現できそうだが、ターゲット客層の偏差値を低めに設定しているのか、死ぬほど丁寧な解説付き。「世界の名画」とかそんな番組みたい
「心臓が子供くらいの大きさしかないから助かったんだ」(松尾スズキさん)
だから何?と思ったが、無駄な描写などしない健太監督。ちゃんと終盤の伏線になってた。
・ドンちゃんは多重人格?
常にランニングシャツで、時々リヤカー引いてたりキャラの掴めないドンちゃん。刑務所を脱走するやいなやどこで手に入れたのか病的なファッションセンスのスタジャンを着用。まあ、そんなところは別にいいのだ。とにかく彼の描く絵がすごい。
タッチ変わりすぎ!!
まるで4~5人の人格が入れ替わり立ち替わりドンちゃんに絵筆を運ばせているかのように、あまりに系統の異なる様々な絵を披露。で、エンドクレジット見たらやっぱり4~5人の画家が書いてんだもん
まあ、念力使うわ、心臓は子供にぴったりサイズだわ、国籍不明だわ、深作流仁義なき世界にもさらっと飛び込むわ、我ら常人とは比較にならないくらい複雑な精神の持ち主なんだろうが
・説明省いて感動最前線に強行突入
ストーリーに必要ない描写を極力さけているような健太映画だが、反面必要なことを省くのは大得意。説明なしでいきなり"感動"の展開に突入させるのが大好き。
「BR2」における竹内力の「トラーーーイ!!!」は未来永劫語り継いでいきたい名シーンであった。
ま、前作よりだいぶ落ち着いた作風ではあるものの、今回も山本太郎と窪塚洋介の関係性の激変なども楽しめる。あるシーンではドンに手を出すんじゃねえ!!とか言っといて、次に会った時、明らかにドンを殺そうとしていた窪塚に、お前があいつをどうしようと知ったことじゃねえ、と語る。太郎憤死のシーンの唐突ぶりもなかなかの無駄な感動シーンとして映画を盛り上げる。
ドンちゃんの臓器は誰の同意で摘出されたのか疑問を感じるが、そんな説明はすっ飛ばしてラストの窪塚絶叫の"号泣のラスト(え?)"へと強行突入していくのも健太節だ!!
・反米かつハリウッド愛
前作において熱過ぎて笑えるくらいの反米思想を絶叫していた健太監督。一方でアメリカ映画の影響と愛は隠しきれず、前作では"プチ・プライベート・ライアン"を披露してくれた健太監督。今作では何をするか・・・それはクライマックスに用意されていた。
燃え盛る小屋。煙は出ず赤い炎ばかりがぼうぼう。時々景気付けに爆発する可燃性の薬品か燃料か塗料かなんか知らんがろくでもない液体の入った一斗缶。足場が崩れ炎の中に落ちそうになるドンを救うため必死で腕を延ばす鉄也。
そう、今回は"プチ・バックドラフト"である。
プライベート・ライアンの1000人くらいでの上陸作戦を40人に縮小したBR2に続き、バックドラフトの巨大工場での火災を二階建てくらいの小屋に縮小する。そういえば親父は「スター・ウォーズ」に対抗して「宇宙からのメッセージ」を撮っていたっけ・・・
・・・などなど。
きっとBR2同様、世間一般的には、駄作とか、つまんねえとか、わけわかんねとか、親父だったらもっととか、色んな貶され方する映画なんだろうけど、私は心の底から楽しめました。
角川が久々に佐藤純や(←漢字出てこない)とのタッグを復活させたことだし、角川映画のもう一人の立役者だった親父のことでも持ち出して角川映画を動かし、無駄に金ばかりかけた大味娯楽時代劇またはハリウッドスターも担ぎだすスケールばかり無駄にでかいSF映画とか撮ってくれないかな。
窪塚洋介、エディソン・チャン、山本太郎のバカっぽく熱い演技を見るだけでも1800円の価値あり。
黒木メイサは・・・ま、がんばって
ところで、エディソン・チャンってインファナル・アフェアのトニーだっけ?アンディだっけ? しょーじき区別つかんのよね、あの2人(2人ってチャンとユーね)。
アジア圏有望株の濃厚俳優ゆえ、ちゃんと見直して識別できるようにしておこう。
そのうちエディチャンとかへんな省略で呼ばれるかも
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これは結局誉めてる・・・んですよね?
思わず、ぷぷっと。
「プチバックドラフト」は本当にプチでした
「BR2」は「たけうっち、りきでぇ~す!」とリアル母失格三田佳子が好きだったなぁ~。バカ映画として。
でも、原作マンガは大好きなんで、「バカ映画」として楽しめそうにないので、やめにしときます。
マジで健太に怒りそう。
深作健太監督は、香港魂に近いものを感じさせます。
日本でちまちま映画作ってないで、ツイ・ハークに弟子入りすべきです。
エディソン・チャンと、ショーン・ユーの区別がつかない・・・
あちこちで見かけます。エディソンくんの方が、演技もうまいし、バタくさいです。
ショーンくんは、ヌボっとした感じが抜け切りません。
ファンからは「エディ
どうもエディ・マーフィーみたいなので、私はフルネームで書くようにしています。
はい、結局愛してます。この映画
>aq99さま
愛してるけど激怒したくなる気持ちも判るので観ない方が無難でしょう
>RINさま
健太は香港にもっとも近いような気がします。もちろん、カーウァイとか、アンドリュー&アランじゃなくって、もっとベタベタな香港の方
インファナル・アフェアを見直しまして、ショーンとエディソンの区別がやっとつきました。
それにしても面白かった、インファナル・アフェア
それにしても判り難かった、ショーンとエディソン
自分は、こういう映画好きです。多少不具合もありますが、なんせ「パワフル」だと思いました。がんばってほしいです。
私もこういう映画大好きです。
相当不具合だらけですが、そんなのお構いなしにパワフルですから
僕も「バカ監督」という表現はいいと思うな。前作は、酷評だったけど、僕は、まあ、古臭いバリケード戦をやっちゃうところが面白かった。
だけど、今作は申し訳ないが、僕は評価しない。本当の「バカ」とはいわないけど、なんか遠慮しているみたいな制作姿勢だ(笑)