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映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品中心にネタバレ徹底分析
映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

追悼 イングマール・ベルイマン・・・

2007-08-01 02:15:26 | 映画人についての特集
イングマール・ベルイマンが亡くなりました。
黒澤、キューブリック以来の大物映画人の他界です。

40年代から70年代に限定して言えば、世界で最も重要な監督の10人に確実に名を連ねたでしょう。
映画100年史で考えても、ベスト10に入るかも知れません。

ウディ・アレンなど多くの監督たちに影響を与えました。
アカデミーの外国映画賞はたしか3回受賞。(「処女の泉」「鏡の中にある如く」「ファニーとアレクサンデル」)
キネ旬では二年連続で1位をとったこともあります。(「処女の泉」「野いちご」)

私も大好きでした。
といっても、もちろんリアルタイムで付き合ってきたわけではありません。
かろうじて、今年松本で公開された「サラバンド」だけがリアルタイム観賞した映画ということになります(製作は2003年の映画ですが)
基本、ビデオかDVDでのお付き合いでした。

以下、観賞全作の短評を・・・

*****
はじめて観たのは「第七の封印」 マックス・フォン・シドーという俳優を初めて知ったのもこの映画・・・じゃなくてその前に「007ネバーセイ・ネバーアゲイン」で観ているか。「サラバンド」の映評にも書いたけどシュワルツェネッガーの「ラスト・アクション・ヒーロー」で上映中の「第七の封印」のスクリーンから死神が抜け出してくるシーンがあった。

我が生涯のベスト10に絶対入れたい映画が「野いちご」

代表作とも言われるのが「処女の泉」。モノクロ映像芸術の頂点にあるといってもいい。

「鏡の中にある如く」・・・アカデミー外国映画賞はとったがそれ以外ではあまり評価されていない気がするが、私は大好き。「忘却の地に赴き、死の愛を受けよう」という台詞が好きだ。神と会話していると信じる少女をめぐる家族たちの葛藤。「聖なる狂女」というモチーフが好きだ。狂っているがゆえに神々しい。そんな映画をとってみたい。

「秋のソナタ」・・・ベルイマンと同郷の大女優イングリッド・バーグマンの最後の映画出演作。バーグマンvsリヴ・ウルマンの演技対決にゾクゾク

「ある結婚の風景」・・・「サラバンド」の前日譚。家族の崩壊を冷酷に見つめる

「ファニーとアレクサンデル」・・・上映時間5時間の大作。5時間かけてこれも家族の崩壊と宗教の意味を問う。長いっ・・・と思いつつも観てみるとさすがの面白さに引き込まれる。アニメオタクなやつとルームシェアしてるとき無理矢理見せ続けたことがある

「夏の夜は三たび微笑む」・・・気楽にみれるテンポのいいドラマ

「夜の儀式」・・・こういうの観ると難解な作家と呼ばれるのがわかる

「叫びとささやき」・・・赤い室内、赤いフェードアウト。静かな室内。綺麗な家具、調度品。絵画のような映像のなかでぶつかりあうベルイマン映画の三人のミューズ。ハリエット・アンディション、イングリッド・テューリン、リヴ・ウルマン。美しい映画であった

「不良少女モニカ」・・・なんとなくタイトルに心惹かれる、ベルイマン流青春映画。ダルデンヌ兄弟の映画が好きなら観てみよう。

「沈黙」・・・ほんとけっこう沈黙

「冬の光」・・・誰が言ったか「沈黙」「鏡の中にある如く」とともに神の沈黙三部作をなすという。「沈黙」よりさらに沈黙してる感じ。

「仮面/ペルソナ」
瓜二つの女がいる。ただし一人は失語症の大女優。もう一人は、若い看護婦。
二人は田舎の別荘で二人っきり。密室劇的会話劇でありながら、喋るのは一方だけ。他方はだまって聞くだけ。
失語症の女優は除々に癒され、反面よく喋る看護婦は次第に精神が崩壊していく。やがて二人を隔てていた境界が曖昧になり・・
やはり天才は考えることが違うな…と、どうしようもないほどの実力差を見せつけられた映画だった。
随所に挟まれる実験的映像も圧倒的にパワフル。
ただひたすら巨匠の技の前になす術もなくめった打ちにされている俺だった。

「サラバンド」・・・遺作となってしまったが、心の底から楽しめた。ベルイマンと同時代に生きたぞ!!とかろうじて言う権利をもらえた。今年のベスト1候補作。「野いちご」や「ペルソナ」と比べてパワーダウンは否めないけど、カラーになってからの作品では最もパワフルに攻めてくる映画だったと思う。普通に人に勧めやすい、そしてベルイマンにしては判りやすく、コンパクトにまとまった傑作だったと思う。

・・・・そんなこんなで、ベルイマン監督のご冥福をお祈りいたします。

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3 コメント

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モノトーン (kimion20002000)
2007-08-01 20:57:12
TBありがとう。
だいたい、すべて作品は見ていると思いますが、理解しているかどうか・・・。
沈黙三部作など、見に行く自分に酔っていたような(笑)
この人は、やはり、モノクロ画面の緊張感と美しさが印象的でした。
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お久しぶりです。 (ミヤ)
2007-10-11 16:56:02
最近ご無沙汰しておりました、ミヤです。
お元気でしょうか?
暫く遊びにきていない間に、膨大な記事の量があって
読むのに必死になりながら、じっくりと読ませて頂いております。

イングマール・ベルイマン、私は「野いちご」しか見たことがない監督なのですが、ニュースで聞いた時はびっくりしました。
しんさんの熱い思いがたっぷり入った記事を読むと、他の作品も気になってきました。機会があれば、手にとってみたい限りです。
イングマール・ベルイマン監督のご冥福を祈ります。
返信する
コメントどうもです (しん)
2007-11-07 18:34:19
>kimion20002000さま
観てる自分に酔える三大巨匠ゴダール、フェリーニ、ベルイマンもあと一人となりました

>ミヤさま
「野いちご」は大好きです。他の作品もぜひ観てくださいまし
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