もろ小津なオープニング
カメラもがっちり固定
パクリ?オマージュ?
けれど小津みたく、丁寧にカットわって台詞をしゃべらせて、エピソードを積み上げたりはしない。
必ずしも望み通りではない状況を、「まあいいか」とあきらめた、・・・違うな・・・、状況を打開するのがめんどくさいから、その場の流れにとりあえず身を任せている。だから台詞も極端に少ない。漂っていたのは小津臭ではなくジャームッ臭に近い。
・・・なんにせよ、単に真似しただけではなかった。
カメラは3カットだけ動く。
●ヨウコが家を飛び出すとこ
●スズが自分の家に走っていくとこ
●スズが彼氏(夫?)をぶん殴るとこ
流れにまかせるだけで、熱くならないヨウコとスズ。その二人が、感情の制御が効かなくなった時。それまでフレームにきっちり収まっていた二人は、いわば暴走してフレームから飛び出す。カメラは必死に付いていこうとするが、追いつかない(かのごとくの動きを見せる)。
カメラワークは二人の心象を表しているように思えたし、それゆえ上記の3カット以外のフィックスのショットは二人の無感動な性格を表現していたのだろう。
うまい映画だった。
説明は極力排して、台詞もぼそぼそ、物語もあまり動かず、でも、ことさら強調することなく、何とはなしに匂わせてきた人物関係を、後半で動かす。物語が動き始めるとカメラも動く。きわめてなんてことない動きなのに、強く印象に残る。
日曜日の午前中のようなだらだら感。何も起こらない、何も変わらない・・・と思わせて微妙に変化させていく。
似たもの同士だけに反発する、居心地の悪さ。日常的な情景を切り取るだけかと思わせて、日常生活では見えてこない心の内面を巧みにすくい上げる。
傑作だった。仮にカメラがドへたくそで、役者がド素人でも、ほぼ同じものが作れる。だからもともとの8mm版が高く評価されたんだな。ずるいなあ、あ、いや、うまいなあ。
傑作には凝ったカメラも、演技力も、もちろん莫大な予算もいらないんだ。
この監督、井口奈巳女史。まだしばらくこのラインでいけると思う。ずっとこのままでいて欲しい。もっとも、この人ならヒット狙いのメジャー作品や、ゴールデンタイムのドラマとかに走る事もないだろうけど。そしてヨーロッパあたりで評価されていけばいいな。
***********
東京より一年近く遅れての公開でしたが、松本CINEMAセレクトさんのご尽力によりスクリーンで観れたのでした。
**********
どうでもいいけど「犬猫」で検索すると動物病院に関するページばかりがヒットしてくる・・・
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
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必ずしも望み通りではない状況を、「まあいいか」とあきらめた、・・・違うな・・・、状況を打開するのがめんどくさいから、その場の流れにとりあえず身を任せている。だから台詞も極端に少ない。漂っていたのは小津臭ではなくジャームッ臭に近い。
・・・なんにせよ、単に真似しただけではなかった。
カメラは3カットだけ動く。
●ヨウコが家を飛び出すとこ
●スズが自分の家に走っていくとこ
●スズが彼氏(夫?)をぶん殴るとこ
流れにまかせるだけで、熱くならないヨウコとスズ。その二人が、感情の制御が効かなくなった時。それまでフレームにきっちり収まっていた二人は、いわば暴走してフレームから飛び出す。カメラは必死に付いていこうとするが、追いつかない(かのごとくの動きを見せる)。
カメラワークは二人の心象を表しているように思えたし、それゆえ上記の3カット以外のフィックスのショットは二人の無感動な性格を表現していたのだろう。
うまい映画だった。
説明は極力排して、台詞もぼそぼそ、物語もあまり動かず、でも、ことさら強調することなく、何とはなしに匂わせてきた人物関係を、後半で動かす。物語が動き始めるとカメラも動く。きわめてなんてことない動きなのに、強く印象に残る。
日曜日の午前中のようなだらだら感。何も起こらない、何も変わらない・・・と思わせて微妙に変化させていく。
似たもの同士だけに反発する、居心地の悪さ。日常的な情景を切り取るだけかと思わせて、日常生活では見えてこない心の内面を巧みにすくい上げる。
傑作だった。仮にカメラがドへたくそで、役者がド素人でも、ほぼ同じものが作れる。だからもともとの8mm版が高く評価されたんだな。ずるいなあ、あ、いや、うまいなあ。
傑作には凝ったカメラも、演技力も、もちろん莫大な予算もいらないんだ。
この監督、井口奈巳女史。まだしばらくこのラインでいけると思う。ずっとこのままでいて欲しい。もっとも、この人ならヒット狙いのメジャー作品や、ゴールデンタイムのドラマとかに走る事もないだろうけど。そしてヨーロッパあたりで評価されていけばいいな。
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東京より一年近く遅れての公開でしたが、松本CINEMAセレクトさんのご尽力によりスクリーンで観れたのでした。
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大きな変な、ドラマチックなイベント、そんなものはありませんでしたが、静かに動くストーリーがあまりにリアルで見入ってしまいました。
殴られた古田はスズの同棲していた彼みたいです。
表面上は平穏そのものといったものの、
その裏では恋愛の駆け引きが激しく展開されていましたね。
机の上に山盛りにされた落花生の皮や、部屋に転がるワインの空き瓶にも、妙なリアリティがありました。
日本にもやっと期待の女性監督が現れて、私も感慨深い作品ですね。
取り立てて大きな事が起こるわけでもない、等身大の日常が凄く素朴でかつ新鮮でした。
一発で好きになりました。
日に1回の1週間限定上映だったので1回しか観れなかったのが残念です。
私もカメラワーが、特に動いた時のカメラワークが印象的でした。
広く撮った時の小さくなる人物も良かったですけど、フレームから外れてもお構い無しの走るシーンは特に気に入ってます。
ああ、やっぱ亭主じゃなくて、彼氏だったのね
リアル演出はこういうとこが判りにくい
>丞相さま
表に出ないけど張りつめた感じ
張りつめてるって感じるのは、こっちの幻想かもしれないけど
>健太郎さま
ほんとあのカメラ上手かったです。カメラっていうか、そういう演出が
>mmあげまきさま
またTBします