以下は今日の産経新聞に、未完のアベノミクスを前進させよ、と題して掲載された田村秀男の土曜連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で有数の経済研究者であることを証明している。
本論文を読んだ私は、田村秀男は安倍晋三元首相に匹敵する本物の経済通であると、つくづく、思った。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
前文省略
アベノミクス開始後の物価上昇はなぜこうも際立つのか。
主因は消費税増税である。
消費税増税分は小売価格に転嫁されるので、消費者物価は押し上げられる。
その結果、せっかく名目賃金が上がっても実質賃金が下がるので、国内総生産(GDP)の6割を占める家計消費が萎縮する。
家計を犠牲にして税収だけが突出するのは異常である。
アベノミクスの成果として、求人倍率の大幅な上昇が特筆される。
後略
円安は国内生産を有利とするのに、大企業は需要の停滞が長期化する国内向け設備投資を依然として控え、中国向けなど対外投資を増強しようとする。
消費税増税はアベノミクス効果を大きく損ねている。
筆者は安倍首相時代、本紙などで、デフレ圧力が去らない中での消費税増税を幾度も論駁した。
安倍氏は21年4月、自身が会長を務める自民党議員グループ会合講師に筆者を招き、冒頭で「田村記者には筆誅を加えられました」とテレビカメラの前で吐露した。
並の政治家は自身の政策の成果ばかりを誇示し、点晴を欠いた点は認めたがらないものだが、さすがに安倍氏は別格である。
安倍氏は財政収支黒字化に固執する岸田文雄政権に対し、自民党内の若手議員を率いて積極財政を強く求め続けていた。
安倍氏の遺志を1人でも多くの政治家が受け継ぎ、前進することを望みたい。