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バイデン副大統領は安倍首相の二つの提案を断った…その翌日、中国のメディアは、それこそ鬼の首でも取ったように喜んで報道しました

2025年01月20日 11時19分29秒 | 全般
本稿は、2025/1/20,日本国民全員が必読である。
以下は前章の続きである。

安保で中国を忖度
石平 
ちょうどバイデン氏が息子を連れて訪中したその年、これからの4年間を占う出来事がすでに起こっています。
2013年11月23日、習近平政権は突然、東シナ海の上空に「防空識別圈(ADIZ)を設定すると発表しました。 
習近平氏が中国共産党のトップになったのは2012年11月で、国家主席になったのは2013年3月です。
ちょうど習近平政権が1年になるというところで東シナ海上空に”防空識別圈”を設定するとした。
これは習近平政権になってから初めての際立った対外的な軍事的冒険行為ですよ。

門田 
「防空識別圈」とは、領空侵犯のおそれがあるかを識別し、緊急発進(スクランブル)を判断するために、領空(沿岸から約22キロの領海上空)の外側に設定するものです。防空のために各国が国内措置として設定するもので、本来は領空や領上の範囲を定める性格のものではありません。
例えば事前申告がある民間航空機はたとえ防空識別圈に入ってもスクランブルをかけませんね。
しかし国籍不明の戦闘機が防空識別圈を越えて領空に向かってくるときにはスクランブルの必要があります。 
そんな防空識別圈を勝手に中国が設定したわけですが、問題はそれが尖閣諸島(沖縄県石垣市)の上空を含んでいたことです。
完全な日本への挑発でした。       

石平 
そうです。
習近平政権は防空識別圈を設定することによって、尖閣上空を中国の領空のように扱おうとした。
中国空軍が尖閣上空を監視し、その空域を通る場合は事前に飛行計画を報告しなければならないとした。
防空識別圜を自分たちの軍事的な主張に使ったわけです。

門田 
アホ言うなという話ですよ。
石平 
勝手な話ですが、これは日本にとっては切実な、安全保障上の大問題です。
当然、安倍政権はすぐに中国に抗議し、撤回を求めました。
当時の米オバマ政権も一応、即座に11月26日、B52を2機派遣してその”防空識別圈”の中に入りました。
それと連携して、日本の自衛隊機も防空圈の中に深く進入したと発表されています。
アメリカは日本と共に「中国の防空識別圜設定」を無視するという立場を取ったわけです。 
が、オバマ政権はそれ以上、中国に強い態度を取らなかったのです。

門田 
その理由はすぐにわかります。
原因はバイデン氏でした。
このすぐ後、12月2日から、バイデン副大統領は日本、中国、韓国とアジアを歴訪し、驚くべき態度を見せましたね。

石平 
バイデン副大統領がまず立ち寄ったのは日本で、12月3日は安倍晋三首相と会談しました。
安倍首相はバイデン副大統領に、日米が連携し、中国に対して防空識別圈設定の撤回を強く求めようという提案をしました。
それをバイデン氏はまず、断った。 
次善の策として、安倍首相は「せめて日米両国が共同声明でも出そう」と提案しました。
「中国の防空識別圈」に反対の共同声明です。
しかしそれもバイデン氏は断った。

門田 
これは同盟国として信じられない行動でした。
安倍政権が唖然としたことを思い出します。
結局、バイデン氏は「現状を一方的に変えようとする試みを米国は深く懸念している」と述べるにとどめましたからね。
また、日本政府は、中国が要求する民間航空会社の飛行計画書提出を拒否する姿勢を示しかわけですが、アメリカ政府は軍事と民間は別として事実上容認。
バイデン氏は共同記者発表で「誤算や過ちの可能性は高すぎる」と語る一方、「米国は仲裁役」との立場で「中国への気遣いもにじませた」と当時の産経新聞は報じています(2013年12月4日)。
要は中国を忖度したわけです。
その理由は、直後の北京訪問でわかります。

石平 
当時のアメリカ大統領はオバマ氏ですが、安倍首相の提案を即座に断わったのはバイデン氏です。
バイデン副大統領は安倍首相の二つの提案を断った。
日本のマスメディアもそれを報じましたし、その翌日、中国のメディアは、それこそ鬼の首でも取ったように喜んで報道しました。

門田 
12月4日の共産党機関紙・人民日報のウェブサイト「人民網」は、習氏の側近とされた海軍の諮問委員会主任、尹卓少将の発言を掲載しました。
飛行計画の提出を容認したアメリカを「(従来の)一貫したやり方に戻った」と高く評価したんです。
その一方で、日本のことは「われわれの防空圈の法的地位に挑戦しようとしている」と批判しました。 
この稿続く。


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