当社は「鈴鹿さん」「鈴鹿神社」と地元の方に呼ばれることが多いのですが、正式には『鈴鹿明神社(すずかみょうじんじゃ)』と言います。
このうち『鈴鹿』の呼び名は、伊勢の鈴鹿郷から暴風雨で流れ着いた御神輿が神社のはじまりになったという当社の伝説にちなむものですが、では『明神』とは何か、という質問も社頭でたびたび伺うことがあります。
鳥居の額に、少々読みづらいですが『郷社 鈴鹿明神』とあります
元々古代から中世にかけて『名神(みょうじん)』という呼称があり、こちらは諸国の神社のうち特に霊験あらたかで力のある“名社神明”を指す語であったようです。
この名神には朝廷や国司からの奉幣(ほうべい、祭事へ供物を捧げる事)が行われたり、また諸国の一宮(いちのみや)も名神からほとんど選ばれていたということで、制度上重要視されていた神社へ与えられていた名前と見ることができます。
『明神』も「延喜式」以前の時代からある古い語のため『名神』と同義であるとの説もありますが、歴史的に見ると区別は曖昧で、今の明神=昔の名神と言うわけではないようです。
しかし同じく霊験あらたかな、“皆を照らす明るい神様”でありますように、との願いが込められた名前であることは間違いありません。