今日は風が冷ややかながらも陽射しの明るい、春らしい一日になりました。
当神社のフェイスブックやブログを見て下さったのか、或いは偶々見つけられたのか、ここ最近は本殿前の満開の桜にカメラを向ける方の姿を多く目にします。私自身も普段あまり写真に興味はないのですが、思わず何枚か写真を撮ってしまいたくなる光景です。
下から見上げると“霞か雲か”と歌われるのが腑に落ちます
桜の写真を撮る方の姿を見て、ある漢詩の一場面を思い出しました。少し長いですが引用すると、
『且夫天地之間 物各有主 苟非吾之所有 雖一毫而莫取 惟江上之清風 與山間之明月 耳得之而為聲 目遇之而成色 取之無禁 用之不竭 是造物者之無盡藏也 而吾與子之所共適』
『(意訳)およそ天地の間にあるものには全てその持ち主があり、自分のものでなければ少しでも奪ってはならない。しかし川面を吹く風や山間に見える月は、耳で捉えれば音曲となり目で捉えれば情景となる。取っても咎められず使っても尽きる事がない。自然が造りだした無尽蔵のものは、誰も遠慮しなくても良いのだ』
これは『赤壁の賦』という詩の一部で、赤壁とは古戦場の名前。一人が諸行無常、盛者必衰を儚んでいるのに向かってもう一人が元気づけるように答える台詞なのですが、特に今の時代では示唆に富んだ台詞と言えるのではないでしょうか。
ご興味のある方はお調べになると全文が見つけられるかと思います。いつの時代も自然は心や人生の豊かさを思い出させてくれる存在です。