以前にスキーに行ったのがいつだったか思い出せんくらい久しぶりにスキーに行った。
天皇誕生日の祝日、息子がスキーに一緒に行かないかと誘ってきた。7歳の孫も連れていくと言う。
冬、雪の多い鳥取に育ちながら子供頃、スキーなぞしたことがなかった。
親父にはそういった趣味もなく、小学校6年の時だったか、友だちが親子でスキーに行くのに誘われて
連れて行ってもらった一度きりである。
記憶に残っているのは、なだらかな斜面をまっすぐ滑ったのと昼に食べたラーメンが美味かったこと。
スキーを楽しんだなんて記憶はない。子供の頃の記憶はその1度だけである。
スキーにのめりこむようになったのは成人してからのこと。
結婚して息子が生まれて、4,5歳くらいから連れていってはスキー板をはかせてなだらかなゲレンデで遊んだ。
こけて立ち上がれずに泣き喚いたが、不思議と「スキーは嫌だ」とは言わなかった。
息子が就職して家を出るまでに一緒にスキーに行ったのはいつだったろう。
中学生にもなると親と一緒に遊びに行くなんて、自分を振り返っても気恥ずかしやらウザいやらで、敬遠されて当たり前だと受け止めていた。
だから、息子が小学生までとすると、25年以上昔ということになる。
ただ、息子は中学、高校の時にも友人とスキーには行っていて、スキーバス乗り場まで送迎していた記憶がある。
今から10年近く前だろうか、息子がまだ独身だったとき、何を思ったのか、一緒にスキーに行こうと誘ってきた。
少々億劫な気分を女房に吐露したら「せっかく誘ってくれとるのに億劫だなんてバチあたりだ」となじられた。
気を奮って行ったのだが、愛用のスキー靴は、長年放置していたせいで劣化が進んでいて、
リフトを降りて歩くたびに破損していって、歩いた後ろにはカケラが点々と残っている始末。
レンタルスキーで滑ったのだが、その日のことはスキー靴がボロボロに崩壊したという記憶しかない。
今回、親子3代でスキーに行くという機会を逃すと、この先、何時行けるか分からんしな~との思いや
かなり久方ぶりでも多少は滑れるだろうといった気持ちもあって行ってみることにした。
「氷ノ山国際スキー場」、頂上が鳥取県と兵庫県の県境にある氷ノ山。
その兵庫県側にあるスキー場、我が家からは車で1時間ちょっと、息子が住む京都府下からは2時間半。
道中は路傍に雪が残っているが道路には雪もなくスキー場駐車場も地面が出ている。
年取ったせいか雪道の運転に微かな恐怖心を感じるようになっているので無事の到着に安堵した。
天候は風もない曇り空、薄霧が立ち込めているのがいずれ晴れると予感させる。
そして、予感どおり、晴れた。
向こうに見えるのは「ハチ高原スキー場」
まだ、ボーゲンでゆっくりとしか滑れない孫はスキースクールに入れてインストラクターに預ける。
息子を連れて行っていた30年前、お金がなかったのもあったが教えてやれば滑れるようになるだろと、スキーと同じで我流の判断。
スクールできちんと覚えさせようとする息子をみて、今にして思えば、息子に悪いことしたなと思う。
さて、息子と二人でリフトを降りて恐る恐るの滑り出し、初めてのカービングスキー、ちょっと膝を傾けて外脚の土踏まずに加重してターン、
脚を踏みかえてのターン、あ~身体が覚えているもんだな~とちょっと嬉しい気分。
圧雪してないとこに突っ込んで転倒したり、スピード制御ができずに転倒したりはあったけど、なんか、まだイケそうだと感じた4時間。
数年間、運動らしいことをしておらずの体力低下、脚力低下で踏ん張りが効かないことが歯がゆい。
それでも、転倒して息子にいじられたり、スクールの合間に息子と孫と3人で孫のペースに合わせて滑ったりでとても楽しかった。
帰りの道中、そうしことを思い出し、こういうのを細やかな幸せというんだろうなと思った。