熊野三山の最後の一つ、熊野那智大社へは熊野本宮大社から熊野川沿いの道を35キロ戻り、今度は那智川沿いの道を上がる。
熊野詣での道、熊野古道は至る所をウネウネと這っているが、その内でも有名で駐車場もあって便利なのが「大門坂」だ。
この地点までバスで来て、無料の杖を手に熊野古道の面影を最も色濃く感じられると云う この大門坂の石畳をエッチラオッチラ上がり
那智大社へ汗を少し滲ませて参詣するのが人気のようだが、坂道が嫌いな私は写真だけ撮ると車に引き返した。
那智大社への道は急勾配で古道を歩かなくて良かったと思いながら駐車場へ車を入れたのだが、実際にはここから社までが大変な苦行だった。
どこまで続くか先の見えない石段をヒーヒー上がっていたら、休み休み上がっていた お婆ちゃまと一緒になった。
「500段あるらしいよ(実際には470段余)」と教えられて腰が抜けそうになったが、お婆ちゃまより 少し若い私は頑張って 頑張って足を進めた。
松本城や犬山城へも上がったし、日本一高い日御碕灯台へも上がった。
それに数日前に竹生島の石段を制覇したと云うのが自信につながっている。
何とか無事にゴールして御朱印を頂き青岸渡寺や那智の大滝も拝したのだが、何とここまで車でも上がれるようで駐車場があった。
どうやら有料道路を通るとここまで来られるらしい。
しかし、この苦行を終えたばかりの私には、達成感と清々しさが宿っていて、車で上がる人をズルイとか羨ましいと云う気持ちにはならなかった。
人間としても 少し成長した私は笑顔で駐車代500円を払い熊野の澄んだ空気を胸いっぱいに吸うと清らかな気持ちで静かに山を下った。