高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

ミラノ通信5

2007年11月19日 18時22分12秒 | 海外事業展開グループ

11月18日  展示会四日目、日曜日。今日の当番は私が実演、サブ担当が大橋君、フリーの毛利さん油布さんはミラノ近郊のコモ湖に住む日本人、波多野さんの自宅に電車に乗って出かけていった。二組に分かれてギャラリー組と遠出組と。私は朝10時の集合に少し遅れてしまった。遅れた訳はブログを更新していたのだが、ネットの環境が電話回線なので、どうにもこうにも時間がかかって仕方がない。三日分の文章だけのブログをアップするのに結局20分掛かってしまった。そんな事情でメールを頂いている方や、書き込みをしてくれた方、ミクシィのメッセージにもお返事が出来ない。このブログを通じてお詫びしておきます。後日、日本に戻ってから連絡しますので許してネ。
11時、オープン早々お客様が入ってくる。やはり日曜日なのでお客様が多いようだ。今日は日本人学校の先生や父兄の人達も沢山来てくれている。遠くトリノからネットを見たと言って来てくれた方のいる。一日中お客様が途切れることも無く、私と大橋君で何回「竹細工教室」をした事か? 大橋君の教え方は かゆい所に手が届く懇切丁寧な教え方だ。
油布さんとは対極である。丁度彼が教えた2回の教室は全員日本人だったので、通訳も要らず、竹の性質から特徴、歴史的背景まで優しく教えている。  しかし、四海波の竹細工教室は体験した全員、100人が100人感動する。特にイタリア人は大げさな喜び方をする。

1118_067 そこで、私は考えたのだが、まだ、だいぶ四海波の材料が残っている。これを使わないのはもったいない。そこで、翌日の私のフリーの時にミラノ一番の観光スポットである、ドォーモの前にゴザを引いて、そこで路上パフォーマンスとして、油布さんの竹ヒゴ作りや、竹箸製作と 私が道行く人に「四海波教室」をしようと思う。これほどのパフォーマンスはない。
しかし、事前に市当局や警察に許可を取っていないので、ひょっとすると逮捕されるかも知れない。それでも、やってみる価値はある。世界に冠たるミラノドォーモの前の石畳で日本の竹の素晴らしさをデモンストレーションするのだ。これは面白なるぞ。  他のメンバーに話してみると油布さんが「捕まるかも知れんのか?」とちょっと尻込みしている。大橋君は自分の当番の事はほって置いて、「私もそちらに行きます。捕まっても良いですよ。良し、絶対そっちにいきます。」と大変乗り気である。私はもちろん発案者であるし「そんなの何か言われたらその時止めれば良いよ。もし、捕まってもそれもハプニングで楽しいやん。」といい加減である。そんな事を考えていると、やはり私は人の運に恵まれているのだ。
たまたま、来ていた日本人のお客様に「ドォーモの前でパフォーマンスをしたいがどんな事になるか判らない?」と話してみると、何とこの人が「警察に知り合いがいるから聞いてあげる」と言う。
1118_042 こんなタイミングってあるだろうか?早速、電話してもらうと「本来は許可書を取るのが良いのだが、今日の明日では許可書を取るのは無理だ。しかし、物を売ったりする訳ではないので大丈夫だろう」との事だ。明日には、電話してくれたお客様も一緒に来てくれると言うので もし、何かあった時は彼女を通じて話して貰えば大丈夫だろう。後は天気だけが心配だ。

1118_029 夕方になって、遠出のチームも戻って来た。イタリア一の避暑地で美しいところだったそうだ。夜はオープニングの時に通訳で手伝ってくれた堀田さんが御主人と見学に来てくれた。御主人はレストランのオーナーで今日は休みの日なので日本の工芸を見に来てくれたのだ。大変気に入ってくれて作品を注文してくれたり、竹細工教室に挑戦して大喜びしてくれた。実に良い男で、爽やかな目が彼の誠実な人柄を表しているようだ。堀田さんの提案で「休みの日だが、私達のために食事を作ってくれることになった。」ありがたい。閉店後タクシー3台に分乗して彼のレストランへ、隠れ家的な場所で、外から見ると解らないような所だ。しかし、中に入ってみると広い中庭が広がり、実にゆったりとした落ち着いた空間が広がる。シャレたレストランである。食前酒のシャンパーニュを頂き、その後赤ワインを 料理も彼の思いが込められたリゾット。1118_085 一口、口にすると口いっぱいふわっと甘さが広がる、全員このリゾットに感動である。その次に子豚のロースト、表面はパリパリに香ばしく焼きあがり、中のお肉はとてもジューシー。今までミラノで食べた物の中で最高の料理である。特に大橋君は「この料理を食べになら、もう一度ミラノに来たい。」と。器からナイフ、フォーク、グラス、調度品に至るまで彼の料理に対する思いやセンスが伝わってくる。楽しい時間を過ごして後、堀田さんに「素敵な彼だネ」と言うと「そうでしょう」と本当に嬉しそうに笑っていた。

竹工房オンセ

コメント (3)
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