別府の竹問屋の中でも、1・2を争う問屋さんに「竹苑」さんがある。どうも、最近の問屋さんは、自分の所では在庫を抱えずに、生産者に在庫を持たせ、自分ではリスクを抱えようとしない。そんな中、確実に在庫を抱え、真っ当な商いをしている数少ない問屋さんである。その「竹苑」さんが、だんだんと衰退している竹業界の中で、また新たな切り口の展開をし始めた。
今までの、既存のルートでは、1次卸し、2次卸しと掛けて商売をしていると、どうしても間に沢山の業者が入り、高い品物になって行く。今度は、取引の数量は少なくても、直接小売店へ卸すルートで、「本物だけを扱ったカタログを作りたい!」と言ってみえた。「作品だけのカタログではなく、作者や背景が判るカタログにしなくては!」と言う事で、プロのカメラマンを連れて取材にやって来た。
この写真はデザイナーの女の人と、カメラマンが私の道具を撮っている所である。この前に、私の作業風景の撮影があったのだが、竹苑の社長がカメラマンに注文をつけたのが、「一枚はイケメンに見える様に格好良く、もう一枚は人間国宝の様に見える様に、重々しく!」という事であった。
当の本人は何をしているのか?というと、事務所にいた妻に「茶碗回し」を教えていた。
何故か?鞄の中に茶碗とお箸、それから、手品道具等が入っている。いつも、ひょうきんな人なのだが、必ず、何か芸を見せてくれる。ここまで人を楽しませる事に徹しているからこそ、この不況といわれる中でも前向きに企画が出せるのだろう。いつもこの社長の回りには笑いが耐えない!
今度、私も何処かの宴会でこの「茶碗回し」を披露してみようと密かに思っている。ムフフ!