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うしろより声あるごとし花野ゆく 森 澄雄
一人行く花野である
花野は人生の旅路の終章の景か
ふとかけられぬはずの声を聴いたように感じている
心情が見事にあらわな表意だ
(小林たけし)
【花野】 はなの
◇「花野原」 ◇「花野道」 ◇「花野風」
美しい秋の草花が咲き乱れた野原。華やかな反面、淋しさもともない、昼の虫の音も聞こえるなど哀れ深い。吹く風はしっとりとして日差しも柔らかい。
例句 作者
花野行く男に群れのなかりけり 大森輝男
日陰ればたちまち遠き花野かな 相馬遷子
花野みなゆれ初めたる通り雨 高木晴子
あの世ってどんなとこかな花野行く 河黄人
あの雲に乗れば補陀落花野発 宇田篤子
うしろ手に花野夕山旅を閉じ 澁谷道
えんとつに雌雄のありし花野末 澁谷道
おでん啖べゐて花野へ逃げ戻る 文挾夫佐恵
おのずから岐れ道あり大花野 竪阿彌放心
ここまでと踵返せり大花野 鈴木俊子
つらなれば花野に疼く尾てい骨 福本弘明
花野行く男に群れのなかりけり 大森輝男
日陰ればたちまち遠き花野かな 相馬遷子
花野みなゆれ初めたる通り雨 高木晴子
あの世ってどんなとこかな花野行く 河黄人
あの雲に乗れば補陀落花野発 宇田篤子
うしろ手に花野夕山旅を閉じ 澁谷道
えんとつに雌雄のありし花野末 澁谷道
おでん啖べゐて花野へ逃げ戻る 文挾夫佐恵
おのずから岐れ道あり大花野 竪阿彌放心
ここまでと踵返せり大花野 鈴木俊子
つらなれば花野に疼く尾てい骨 福本弘明