爪先で踏ん張ってこらえた

地震があって今日はまだその余波が残っている。
隣の町へ行くとまだ休みの店が多い。
昨夜に余震もあったしいろいろな事情があるのだろう。
昨日は地震で電車は不通。
隣の町まで久しぶりに歩くことにした。
隣の町まで国道を歩く。国道の歩道を歩く。
この国道はかなり交通量が’多いので自転車も歩道を走っている。
歩くとかなり暑い、汗がにじんでくる。
やはり季節は夏だなと思う。
歩道がかなり細くなっているところで
おじさんの自転車が僕を追い越した。
僕を追い越すとすぐにその自転車は
僕の前に回り込んで目の前で止まった。
急に自転車が背後から回り込んで目の前に止まったので
僕は歩いていて自転車に乗ったおじさんに追突しそうになった。
歩いていて他人に追突しそうになったことってそんなにない。
僕はおじさんの自転車の荷台をまたぐ形で
爪先で踏ん張って上半身は前のめりになりつつも
なんとかおじさんに追突することを回避した。
ぎりぎりでおじさんにオカマを掘らずにすんだ。
前のめりの姿勢でなんとか踏ん張ってこらえていると
後ろからクスッと笑い声が聞こえた。
振り返ると若いお母さんが自転車を止めて笑っている。
僕はお母さんに「すみません」と言った。
お母さんは会釈して自転車をこいで僕の前を走っていった。
自転車のおじさんはぼくに気づくことなく
道路の信号機を横断して国道沿いの細い道を
入っていった。