僕が取っている全国紙の今日の一面に「ワクチン 高齢者 医師優先」という大きい見出しが出ている。
コロナのワクチンの開発に成功してワクチンを接種する場合は高齢者や医師、つまりコロナの危険にさらされる度合いが高い人が優先されるということなのだろう。
ワクチンができるのが心待ちになるような見出しが踊っている。
しかし、この記事を読み進めていくと、記事の最後の方、比較的目立たないところにこんなことが書いてある。
「一方、ワクチン接種では健康被害が起きる場合がある。(コロナの)分科会では、民事訴訟などで生じるワクチンメーカーの損失を政府が補償する案が、政府側から出された。委員から異論は出なかったという」と。
僕の想像なのだけれど、委員から異論は出なかったというという書き方が最後にしてあるということは、「メーカーが訴えられたら政府が補償するんですか?それに対して委員の方から異論は出なかったんですか」という質問が新聞記者の方から出た可能性が高いように思う。
民間の企業の訴訟による損失を政府が補償するって話は誰もが当然のこととして受け入れる話ではないような気がするから。特に新聞記者のような人は。
ワクチンのメーカーは開発に成功すれば1億2000万人分のワクチン供給を日本にする基本合意ができているという。
つまりそれだけのワクチンが売れるということなのだと思う。そして、万一、健康被害が出て民事訴訟で損害賠償を請求されればそれは政府が補償してくれる。
メーカーにとってはいい話だなと思う。
金銭的なリスクを回避しながらワクチンの開発に専念すればいいわけだから。
ワクチンで健康被害が出て民事で訴えられても、賠償は政府が肩代わりしてくれる。
実にいい話に思える。
政府にとってもいい話ではないか。
政府が直接訴えられるよりもメーカーが訴えられて政府がそれを補償するという形にしたほうが政府の面目が保てるように思うから。
これでリスクの心配の少なくなったメーカーはワクチンの開発をフルスピードでやってくれるだろう。
そして、日本国民も大喜び。
「ワクチンさえできれば大丈夫なのにね」という言葉を直接に、そして、電車の中などで誰かが話しているのを何度か耳にしたから。
ワクチンのメーカーにとっても、政府にとっても、日本国民にとっても八方めでたしの話が進んでいるようだ。
うまく進めばいいのだけれど。
ただ、万一、薬害訴訟となった場合、僕は裁判の判例に詳しくないのだけれど、薬害訴訟や公害訴訟が起きて、原告が勝った場合でも、失われた健康は二度と戻らないというほど事態が深刻になっている場合が多いような気がする。
そんなことにはならないようにと祈りたい。
もし、ワクチンができて、僕の親は高齢だから優先的にワクチン接種を受けられる、ということになった場合、親にワクチンを接種するように勧めるだろうか。
たぶん、僕の方から積極的に勧めることはないと思う。
まあ、もし、接種したかったら医師の先生とリスクの点も含めてしっかり相談してからにしね。くらいの言い方にする可能性が高いように思う。
まあ、それは僕ではなく親が決めることとは思うけれど、、、。