渡哲也さんが亡くなった。
僕のおじが渡哲也に似ていると言われていたことがあり、確かに若い頃のおじは渡哲也に似ていたと思う。髪型もスポーツ刈りだったし。
昭和49年渡哲也さんはNHKの大河ドラマ勝海舟の主役になった。若い頃の勝海舟を演じて、本当に、迫力があり爽やかな演技で、当時大河ドラマは割とよく見ていた僕はいいなあと思っていた。
ところが最初の2ヶ月くらいだけ渡さんは勝海舟を演じて、病気に倒れ勝海舟の主役を降板することになる。
当時の渡さんの会見を伝える新聞の見出しが確か「申し訳ありません。あとは涙の渡(わたり)」だったと思う。
本当に自分自身が悔しい思いと、周りに申し訳ないという思いでの涙だったと思う。
昭和46年に玉の海が亡くなった翌日の北の富士さんの「むごい。かわいそうに。北の富士男泣き」という新聞の見出しとそして昭和49年の「申し訳ありません。あとは涙の渡(わたり)」という新聞の見出しは一語一句正確かどうかはともかくとしても、今でも強く覚えている。
玉の海のときも渡さんのときも本当に残念、という気持ちで何度も新聞の見出しを読んだから。
心に強く止まった文章や見出しを何度も繰り返し読んでそれがなぜか記憶に残ってしまうのは僕の心の一つの傾向かもしれない。
でも、本当にあの時は残念だったな。
渡さんに変わって主役をつとめた松方弘樹さんはなんだか演技がけだるそうで、渡さんのさわやかさには負けるなと思って勝海舟の続きを見ていた。
松方さんには申し訳ない言い方だけれど。
もちろん松方さんも自分のそのようなドラマでの起用のされ方には思うところがあったようで、それから長らくNHKのドラマには出演しなかったと記憶している。
渡さんは当時「くちなしの花」という歌もヒット。
いつもFM放送で聴いていた。
もう何十年も歌ったことのない歌だけれど、ユーチューブの映像に合わせて歌うと今でもほぼ正確にメロディラインを口ずさむことができる。
なつかしいなと思う。