新聞を読んでいたら百貨店各社によるおせち商戦が昨日始まったと出ている。多分、具体的な商品内容の宣伝が始まったということなのだと思う。23日から予約が始まるという。
早いなあ。
いつかラジオで浜村淳さんがおせちなど食べ物の宣伝は早すぎるくらい早い時期から始めて、消費者に商品を意識してもらうことが肝心というようなことをおっしゃっていたと思う。
まあ、おせちの宣伝が始まるということはもう少しすれば喪中はがき印刷承ります、そしてそれからしばらくすれば年賀状印刷承りますと出てくるのだと思う。
今年のおせちはコロナ禍を受けて取り分ける必要のないお一人様用などが品を揃えたと書いてある。
映画男はつらいよで三田佳子が信州の女性医師の役でマドンナをつとめるものがある。
その映画の中で信州の病院の院長先生がお正月はどうでしたかと尋ねられて、「いやあ、もうコンビニのおせちだと涙が出てくるよ」と語る場面があった。
たぶん院長先生、信州へ単身赴任か独身なのだと思う。
気持ちはわかるなあと思って僕はそのセリフを聞いていた。
僕はおせちはしっかり料理してくれる母親だったのでそもそもおせちを買って食べるという発想自体が頭にない。
おせちを買って食べるくらいならお正月でも立ち食いそばでいいや、となってしまう。
といっても元旦は立ち食いそばもしまっているだろうけれど。
八王源先生が生前に僕の方を向いてちょっとにやけた顔をして「ケンちゃん。人の心をつかもうと思ったら、食べさせること。食べさせることが一番」とこっそり教えてくれたことがある。
八王源先生はそれ以上具体的なことは何もおっしゃらなかったので、食べさせることって、料理屋へ人を連れて行っておごることかなとその時は思った。
ところが僕は人に料理屋で何かをおごったという経験がたぶん一度もない。
なんか、そういうのあまり好きではない。
ただ、八王源先生にサバの味噌煮を料理して食べさせてもらったときはおいしいなと思った。
ところがその翌朝、八王源先生はそのサバの味噌煮に使った味噌を味噌汁にしたのでそれは臭くてやっとの思いで飲んだ。
懐かしいなと思う。
何日か前にも書いたけれど郡上節に
越前歩荷(ぽっか)の荷なら そこにおろすな サバくさい サバくさい サバくさい というのがある。
まあ本当にサバの臭さはあの味噌汁のことを思い出すと十分にわかる。
懐かしいな。
越前は 現在の福井県のこと。
福井県には鯖江という地名もあるくらいなので、郡上節の時代には越前から郡上へサバを売りに来る人がいたのだろうと思う。
そういう人に平気で、おいサバくさいから荷物そこにおろすなよ と言えるのは本当に善良な市民の歌だなと思う。