僕の実家でとっている全国紙に、リニューアルされ、ライトアップされた日本武道館の写真が出ている。
屋根の色合いそして形が美しいと思う。
日本武道館に1980年代に一度だけコンサートを聴きに行ったことがある。
それはズービンメータが指揮するニューヨークフィルハーモニックで前半にはたぶんジョージガーシュインの曲が演奏され後半にはドヴォルザークの交響曲 新世界よりが演奏された。
武道館はクラシックを演奏するためには決して音響のよいホールではなくオーケストラは力みかえっていて、随分荒削りな演奏だった記憶がある。もう武道館でクラシックを聴くことはないだろうとその時思った。
実際、その時以来武道館でクラシックを聴いたことはないけれど、、、。
日本武道館の最寄り駅が九段下。
九段下の駅で降りて皇居のお堀の回りを散歩しながら肉まんを4つくらい食べて、お堀端に腰掛けて読書して、そんなふうに一日過ごしたこともある。
それはそれで僕にとって印象深い思い出になっている。
日本武道館の屋根のてっぺんにある擬宝珠は玉ねぎの形に似ていて、大きな玉ねぎという愛称がある。
爆風スランプの大ヒットナンバー「大きな玉ねぎの下で」が九段下の駅の電車発着時の音楽になったと数年前に聞いたときとき、それはいいことだなあと思った。
あのナンバーは、ペンフレンドの彼女に貯金箱をこわして日本武道館でのライブのチケットを送って、その時、彼女と初めて会う約束だったけれど、彼女はなぜかコンサートの当日に来ない。彼女のための席が冷たい。という本当に切ないラブソングだ。
でも、叶えられない恋でもそれが決して悪い思い出のように聞こえないところが、大きな玉ねぎの下でという歌の一番の魅力だと思う。
そして、彼女が来ないという経験は少なからぬ人が経験することでもあるし。
歌のサビの部分の歌詞はこんなふうになっている。
“”
九段下の駅を降りて、坂道を、人の流れ追い越していけば
黄昏時 雲は赤く焼け落ちて 屋根の上に光る玉ねぎ “”
僕もコンサートに女の子を誘って、当日、その子は来なかったという経験がある。
それに僕もコンサートに行くと大概は、最寄り駅からコンサートホールまで人の流れを追い越して歩くことが多いので
この歌詞は僕の経験にオーバーラップすることが多い。
なので聴いていてときどき泣きそうになることがある。
いい歌だなと思う。