田中雄二の「映画の王様」

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『海賊とよばれた男』

2016-12-11 09:46:38 | 新作映画を見てみた

激動の時代を背景にしたある男の一代記



 明治・大正・昭和の激動の時代を背景に、名もなき存在から身を起こし、戦後の日本で一大石油事業を展開させるまでに至った国岡鐡造(モデルは出光佐三)の生涯を描く。原作・百田尚樹、監督・脚本・山崎貴、主演・岡田准一という『永遠の0』のトリオが再集結。

 山崎監督が「違う時代の出来事をランダムに描くうちに、国岡商店という大きな組織と国岡鐡造という人物が見えてくると考え、徐々に全体像が浮き彫りになる構成にした」と語るように、あえて時系列を崩して描くことで、変転する時代の中でも常にバイタリティーを発揮する鐡造の人物像を明白にした。

 また、若年から老年までを演じ切った岡田の熱演に加えて、小林薫、吉岡秀隆らが脇を固め、鐡造(店主)と彼を支えた仲間(社員)たちとの絆を軸とした群像劇としている。ただし、妻(綾瀬はるか)や社員たちが鐡造にほれ込んだ理由が描き切れていないので、エピソードの羅列に見えてしまうのが残念だ。

コメント
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