ファンタジーを説得力を持って見せるのは難しい
京都の美大に通う高寿(福士蒼汰)は、電車の中で見かけた愛美(小松菜奈)に恋をする。二人は付き合い始めるが、愛美には「30日間しか一緒に過ごせない」という秘密があった。二人の切ない運命やいかに…。
パラレルワールド、時間軸のずれによる現在、過去、未来のすれ違いを使って、日常と非日常を交差させたファンタジックラブストーリー。
通常の時間軸(高寿の側)に沿った映像を見ながら、どうしても未来から過去へと時間を逆行する愛美の心情や状況をイメージしてしまうので、見ている間は、何かもやもやした気分になる。最後に流れる、愛美が見ていた(体験した)映像を見て、ようやく腑に落ちた。
加えて、『君の名は。』同様、なぜ二人がこうした運命に陥ったのかの説明が不十分で釈然としない。あり得ないこと(ファンタジー)を説得力を持って見せるのは、簡単そうに見えて実は難しいということだ。
ただ、舞台となった京都のレトロな雰囲気も相まってのクラシカルな恋愛模様は、大林宣彦の“尾道三部作”をほうふつとさせるところもあり、捨て難い魅力がある。
こういう映画は、大林のように、作り手が最後まで照れずに作れるかどうかが勝負の分かれ目だという気がする。
この後、主人公が本能寺の変時にタイムスリップする『本能寺ホテル』(1/14)、主人公が時間を戻す『君と100回目の恋』(2/4)、記憶障害の主人公『一週間フレンズ。』(2/18)、主人公が若返って高校生になる『ReLIFE リライフ』(4/15)と、時間軸のずれを描いた映画の公開が目白押し。
しかも漫画の原作が多い。これは『君の名は。』の影響か、はたまた今の若者の現実逃避願望の強さを反映しているのだろうか。