何故これほど多くのナチス関連映画が作られるのか
1950年代後半に起きたナチス戦犯アドルフ・アイヒマンの拘束劇の裏側を、ドイツの検事長フリッツ・バウアーとその部下の動静を通して描く実録サスペンス。
ユダヤ人であるバウアーにとって、これは復讐なのか、正義なのかが大きなテーマになっている。また、バウアーと架空の人物である部下を同性愛者とすることで、迫害されし者の思いを強調した。旧ナチス党員が影響力を保ち続ける当時のドイツの複雑な状況、イスラエルの情報機関モサドとの関係など、興味深い事実も知らされる。
それにしても、去年の『サウルの息子』『栄光のランナー』『アイヒマン・ショー』『帰ってきたヒトラー』『奇跡の教室』『手紙は憶えている』『ヒトラーの忘れもの』などに続いて、今年もこの映画や『ヒトラー最後の代理人』が公開される。戦後70年余の今になって、何故これほど多くのナチス関連映画が作られるのか。検証の要ありだ。