西部開拓期の愉快でちょっと哀愁がある“ほら話”
1830年代、西部開拓初期の狩猟者(マウンテンマン)を主人公にした異色作。ビーバーを狩猟しながら共に旅をするタイラー(チャールトン・ヘストン)とフラップ(ブライアン・キース)。彼らはひょんなことからインディアン女性のランニング・ムーン(ビクトリア・ラチモ)を助けるが、彼女はブラックフット族のリーダー、ヘビー・イーグル(スティーブン・マクト)の女だった…。彼らはヘビー・イーグルの執拗な追跡を受ける羽目になる。
公開時(80年)に見たものの、何とも盛り上がりに欠けるストーリー展開に加えて、ミシェル・ルグランの音楽も違和感があり過ぎて、結局は、舞台となったワイオミングの風景の美しさしか印象に残らなかった。
ところが、約37年ぶりに見直してみたら、最近の同種の映画、例えばディカプリオ主演の『レヴェナント』などの厳しさと比べると、何とも大らかでのんびりとしていて逆に好感が持てた。
この映画の味は、西部開拓の話によく出てくる伝説や、愉快でちょっと哀愁がある“ほら話”に近いのかもしれない。何でもリアルに映したり、演じればいいということではないのだなあ。