田中雄二の「映画の王様」

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『シマロン』

2019-01-21 06:13:58 | 1950年代小型パンフレット
『シマロン』(60)(2012.3.2.)
「お気楽映画談議」から



 夫…この映画の監督はジェームス・スチュワートと組んで西部劇の佳作を何本も残したアンソニー・マン。

 妻…ええっとー、『ウインチェスター銃'73』(50)『怒りの河』(52)なんかの監督ですね。

 夫…そう。西部劇では他にも、『裸の拍車』(53)『ララミーから来た男』(55)もあるね。だけど、この映画は原作が『ジャイアンツ』(56)のエドナ・ファーバーだから、西部劇というよりも、西部開拓時代の末期から第一次大戦までのアメリカの近代史が背景の大河ドラマと言った方がピンとくるのかな。石油の産出がアメリカを変えたというところも『ジャイアンツ』と同じだね。

 妻…『ジャイアンツ』の石油成金のジェームス・ディーン…。憧れの人妻エリザベス・テイラーを紅茶でもてなすところがいじらしかったー。

 夫…ちなみに、この映画で石油成金(アーサー・オコンネル)の奥さんを演じたマーセデス・マッケンブリッジは『ジャイアンツ』では主人公ジョーダン・ベネディクト(ロック・ハドソン)の強気な姉さんを演じていた。彼女がジェット・リンク(ディーン)にやった土地から石油が出るわけで、言ってみればこれも石油つながりで、この映画との共通点かな。土地獲得をめぐるランドレースの様子は、最近ではロン・ハワード監督、トム・クルーズ主演の『遥かなる大地へ』(92)でも描かれていたけど、いかにもアメリカ的な発想だよね。

 妻…早い者勝ちで土地が手に入るなんてすごい時代ね。

 夫…グレン・フォード演じる主人公のシマロンは、正義感が強くていいやつなんだけど、結局自分では何事もなさないってところが面白いね。妻のセイブラ役のマリア・シェルは、『居酒屋』(56)『白夜』(57)『女の一生』(58)などで“文芸映画の女王”と言われた人だけど、この映画も後半は彼女の“女の一代記”みたいになっていたなあ。

 妻…奥さん(セイブラ)が根性あるのなんのって。『夫婦善哉』(55)の淡島千景や、「細うで繁盛記」(70)の新珠三千代を思い出しました。

 夫…「おばはん 頼りにしてまっせ」だな。ちなみにこの『シマロン』はリメーク版で、オリジナルはアカデミー賞で作品賞を受賞しているんだよ。

 妻…そうなんだ。てことは、このリメイク版が1960年だから、オリジナル版は相当古いってことなのね。

 夫…そう。1931年だよ。ちとうんちくを傾ければ、西部劇はたくさん作られているけど、アカデミー賞の作品賞を受賞したのは、オリジナルの『シマロン』とケビン・コスナーの『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)、クリント・イーストウッドの『許されざる者』(92)だけなんですね。

 妻…勉強になります。

グレン・フォードのプロフィール↓


マリア・シェルのプロフィール↓


アンソニー・マンのプロフィール↓


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