TV fan Webに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
夏休みは恐竜とトムの一騎討ち!?
『ジュラシック・ワールド』&『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』
今週の名セリフは↓
追い詰められて開き直ったイーサンが言う
「非常時には非常手段だ」
byイーサン・ハント(トム・クルーズ)
詳細はこちら↓
http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1010762
70~80年代のB級アクション的な味わいがある
舞台は近未来のアメリカ。犯罪の多発に頭を悩ませた政府は、その解決策として、1年に一度、12時間だけ全ての犯罪が合法になる「パージ法」を施行する。という、とんでもない設定で描かれた『パージ』の第2弾。
今回は、毎年行われることになった“パージの日”に、あることをきっかけに、行動を共にすることになった5人の男女が、無法地帯となった夜の街で、生き残りを懸けた戦いを繰り広げる。
一見、サバイバルゲーム風で、『ハンガーゲーム』や『ダイバージェント』をほうふつとさせるが、この映画は、仮想現実ではなく、実際の夜の街中を舞台にしている点が面白い。そして今回はパージの裏に隠された秘密が明らかになり、あらためて、銃社会としてのアメリカが持つ怖さが浮かび上がってくるところもある。
また、この映画は、5人の無名俳優を配し、アイデア重視で撮られているが、その分70~80年代のB級アクション的な味わいを持っていると感じた。そのせいか、しきりにジョン・カーペンターの『要塞警察』(76)のイメージが頭に浮かんできた。
気になったので調べてみると、この映画を監督したジェームズ・デモナコは、リメーク版の『アサルト13 要塞警察』(05)の脚本を書いていたのだ。よし、ちゃんとつながったぞ。
ポップス(ロック)は不意打ちで聴くと心地良い
謎の生物ミニオンが怪盗マグーと出会うまでのボス探しの遍歴を、恐竜の時代から現代までを通して描く。中心に描かれるのは1968年の英国。
エリザベス女王をかなり茶化しているが、それでも許されるというパロディー精神の成熟ぶりははうらやましい限り。サンドラ・ブロックが楽しそうに悪女の声を当てていた。
今回は劇中に流れる既成曲が印象に残った。
「ハッピー・トゥゲザー」(タートルズ)
https://www.youtube.com/watch?v=rYiNDW3VuJU
「19回目の神経衰弱」(ローリング・ストーンズ)
https://www.youtube.com/watch?v=wU1kTuVSUOw
「ブレーク・オン・スルー」(ドアーズ)
https://www.youtube.com/watch?v=cJQwnAhXnBk
「メイク・エム・ラフ」(『雨に唄えば』内の名曲)
https://www.youtube.com/watch?v=FW02c5UNGl0
「紫のけむり」(ジミ・ヘンドリックス)
https://www.youtube.com/watch?v=sARHmO_QuEM
「ユー・リアリー・ガット・ミー」(キンクス)
https://www.youtube.com/watch?v=-2GmzyeeXnQ
「マイ・ジェネレーション」(ザ・フー)
https://www.youtube.com/watch?v=594WLzzb3JI
「モンキーズのテーマ」
https://www.youtube.com/watch?v=VrztgXkO4Tw
「ラブ・ミー・ドウ」(『アビーロード』のパロディーが見られる)
https://www.youtube.com/watch?v=Jbt8oH5Lxto
エンディングは
ミニオンと怪盗マグーの関係を象徴するかのように
「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」(ビートルズ)
https://www.youtube.com/watch?v=bxhhFOnXs2M
「メロー・イエロー」(ドノバン)
https://www.youtube.com/watch?v=CMoo3QqJK_k
登場したキャラクターが総登場するカーテンコールは
「レボリューション」(ビートルズ)
https://www.youtube.com/watch?v=ihhCoJ72fQE
写真家の浅井慎平が言っていたが、ポップス(ロック)は不意打ちで聴くと心地良い。
よくこんな話を思い付いたものだ
友人と共にポッドキャストを運営するウォレス(ジャスティン・ロング)。ネタ探しでカナダを訪れた彼は、「面白い話がある」という元船員に話を聞くため、人里離れた老人の家を訪ねる。
だがウォレスは、人間をセイウチと合体させるという妄想を抱く老人によって“セイウチ人間”にされてしまう。
タイトルの「タスク」とは牙のこと。主人公の名前はウォルラス(セイウチ)と似ているし、彼の変な形のひげもセイウチのそれのように見えなくもない。
と、この映画は初めからウォレスがセイウチ人間になる要素を提示している。つまり確信犯的に作られたブラックコメディーなのだ。
そして、この映画はネット上の掲示板と広告からアイデアを得ながら、お調子者で人を笑い者にするウォレスが受ける受難を通して、他罰的で他者を嘲笑する傾向があるネット住民を皮肉るという側面もある。
狂気の老人役をマイケル・パークスが怪演し、ウォレスの同僚役を、でぶでぶになった名子役ハーレイ・ジョエル・オスメントが演じ、後半は怪しい探偵役で変装好きのある大スターも登場する。
ところで、狼男、ハエ男、ワニ男、ヘビ人間、ムカデ人間など、人間と異なった生物を混ぜ合わせる映画を、最近はハイブリッド映画と呼ぶらしい。ともあれ、この映画のセイウチ人間はどちらかと言えばフランケンシュタインに近いか。
彼らは皆グロテスクだが悲しい存在でもある。彼らの存在を通して、観客は笑いと恐怖(コメディとホラー)は表裏一体だと気付き、他人の不幸を見るのは面白いという残酷趣味を満足させたりもするのだ。
それにしても、こんなにグロテスクでばかばかしい話をよく思い付いたものだと感心するやらあきれるやら。
さて、元祖セイウチ人間と言えばザ・ビートルズ「アイ・アム・ザ・ウォルラス」。ひょっとしてこれがこの映画の大元か。「グラス・オニオン」でジョンは「セイウチはポール」と歌っていた。
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
夏の音楽の代名詞、ビーチ・ボーイズの光と影を描いた
『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』
詳細はこちら↓
http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1009661