ここまで不幸を描かなければダメなのか
舞台は米ルイジアナの田舎町。高校時代に出会い、互いに深く愛し合いながらも、不幸な事件のために別々の道を歩んだドーソンとアマンダ。
20年ぶりに再会した二人は、互いへの思いを再燃させるが…。
現在と過去を交差させながら描く一種の悲恋ものだが、ダブルキャストが似ていないのが致命的。これではとても同一人物の過去と現在を描いているとは思えないし、イメージが異なるので物語に一貫性が感じられず、感情移入ができない。
そして、父親からの虐待、貧困、親友(いとこ)を誤殺、服役、アマンダとの別れと、こちらの予想を遥かに上回る形で次々にドーソンの身に不幸が起きる。ラストも意外性を狙ったのだろうが「おいおいそこまでやるか」と思わされる。
これは、ニコラス・スパークスの小説を原作とする映画の定番の展開だが、あまりにも、泣かせるためや“いい話”に仕立てるための作為が見えて興ざめさせられる。ここまで不幸を描かなければ“泣かす”ことはできないと考えたのなら、それは大いなる勘違いだったと思う。
by the way. この映画には、ドーソンとアマンダが、アービング・バーリン作曲の「What'll I Do?」をバックに踊るシーンがあったが、同じく身分違いの実らぬ恋を描いた『華麗なるギャツビー』(74)でも、ギャツビー(ロバート・レッドフォード)とデイジー(ミア・ファロー)が、この曲をバックに踊るシーンがあった。
『華麗なるギャツビー』の「What'll I Do?」は“デイジーのテーマ”として、ネルソン・リドルがアレンジし、『続・激突!/カージャック』(74)や『ダイ・ハード』(88)に出ていた俳優のウィリアム・アサートンが歌っている。参考にしたのだろうか。
https://www.youtube.com/watch?v=CNT-W--A6rA
ダブルキャスト、性格の描き込みの失敗でだいぶ損をしているが、アマンダを演じたミシェル・モナハンに熟女の魅力あり。たまたま同じ日に見た『ピクセル』では、一転、シングルマザーの軍人をセクシーかつコミカルに演じていた。
そう言えば、彼女は『ミッション:インポッシブル』シリーズでトム・クルーズ扮するイーサンの妻役を演じていた。『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』で三連発か、と思ったが、今回は出ていなかった。
大昔ならローレン・バコール、少し昔ならキャスリーン・ターナー、きついまなざしが魅力的なクールな美女という系譜に連なる女優。今後が楽しみだ。