田中雄二の「映画の王様」

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『嗤う蟲』

2025-01-26 09:41:58 | 新作映画を見てみた

『嗤う蟲』(2025.1.15.オンライン試写)

 田舎でのスローライフに憧れるイラストレーターの杏奈(深川麻衣)は、脱サラした夫の輝道(若葉竜也)と共に麻宮村に移住する。自治会長の田久保(田口トモロヲ)を信奉し、自分たちに過剰なお節介を焼く村民たちに辟易しながらも、2人は新天地での生活を満喫する。

 そんな中、村民の中に田久保を畏怖する者たちがいることを知った杏奈は、次第に不信感を抱くようになっていく。一方、輝道は田久保の仕事を手伝うことになり、 村の隠された掟を知ってしまう。

 監督は城定秀夫。脚本は内藤瑛亮。田舎暮らしのマイナス面をデフォルメしたスリラー。偶然だが、その対極にある宮藤官九郎脚本の『サンセット・サンライズ』と同時期に公開されたことは、描く視点によってそのテーマがプラスにもマイナスにもなるという点で興味深いものがあった。

 そもそもホラーやスリラーを見て気分がよくなることはないのだが、この映画にしろ、公開中の『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』にしろ、見ながら嫌な気分になり、後味の悪さが残る作り方になっている。観客にそうした思いを抱かせることが作り手の狙いだとすれば、その点ではこの映画は成功していると言えるのかもしれないが、自分の好みではない。

 


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