硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「スロー・バラード」

2020-09-26 19:27:47 | 日記
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それと同時に、自転車に乗って校区外にまで行くようになった俺らは、電車やビルがある街へ出てくと、ヤンキーの兄ちゃんに、訳の分からんまま、いちゃもんつけられて、殴りかかられて、その度に必死で逃げていた。そんなことを想い出してたら、ようじが中学の時の、なっともならんヤンキーの名前を出した。

「そういやさ。ひさしって覚えてる ? あいつ、今何してんのかな。」
「俺、あいつのおかげで散々やったわ。」
「あいつ、ほんまに面倒くさかったな。すぐ力で押してくるしな。」
「ほんまやでぇ。俺さ、中三の時にさぁ、ひさしがさぁ、そん時、付き合ってた浜中の女子に、浜中のヤンキーにちょっかい出したで、落とし前つけるっていうて、浜中の奴らとケンカするで、お前もついてこいて言われてさぁ」
「迷惑な話だな。タイマンで済むことなのにな。俺、そん時、学校休んでて、ラッキーだったの覚えてる。」
「お前、ほんまラッキーやったで。チャリで30人くらいで浜中まで行ってさぁ。知らん奴とケンカするのってあほらしいと思とったけれど、断るとあとが面倒やろ。それで、行ったはええけど、パトカーが待ち構えとってさぁ、クモの子を散らすように退散したわ。」
「それで、どうなった? 」
「ケンカに行った全員、親と一緒に体育館に呼ばれて、ポリさんと生活指導の先生に、えらい怒られたわ。それで、内申書に傷がついて、希望の高校あかんだんやわ。」
「けど、お前さ、内申書の前に点数たりなかっただろ。」
「お前なぁ~。それは、言うたらあかん ! 」

俺らは爆笑した。そして、ひさしの話題は高校時代へと伸びた。