硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「スロー・バラード」

2020-09-30 16:26:52 | 日記
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「けどさぁ、子供が出来たら、おじいちゃんとおばあちゃんが子供の面倒見てくれるやん。あれなくなったら、嫁さん一人で子育てせなあかんくなるやん。それは、だいじょうぶなんかなぁ」

「日本経済がもっと豊かになったら、医療や福祉といった公共サービスも充実してくるから、子育てはそういった機関に頼れるようになるよ。実際、欧米諸国はそうなりつつある」

「そんなもんかぁ、けど、それって、共働きていう前提やろ」

「もちろんそうさ。女性のキャリアアップも、これからの時代だろ」

「けどさぁ、うちの会社、結構大っきいけど、えらいさん男ばかりやし、労働組合のえらいさんも男ばっかりやで。そんなとこに女の人が入ってくってほんまに出来るん? 」

「・・・今は無理だけど、そのうち、できるようになるさ」

 確かにそうなんやろうけど、世の中て、戦争でもおこらんかぎり、いきなり変わらんやろし、子供産めるのは女の人だけやし、いとこのねーちゃんが言うとったけど、子育てて、休みなしやし、それを他人に頼るには、結局、お金がいるという事やし、休みなしにまかせるんやったら、それだけお金がかかるという事になる。
それに、子供を他人に預けて、バリバリ働くより、『お嫁さんになりたい』っていう子には、逆に、生きづらくなるんちゃうかと思たら、なんか、もやっとしたもんが残った。それなら、ようじはどうするか聞いてみたなった。

「ようじはどうするん? 」