硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「スロー・バラード」

2020-09-29 09:06:35 | 日記
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「なぁ。浩二はさ、田んぼ、継ぐの?」

「そうやなぁ。親が継げって言うてるから継ぐと思うけど、親は嫁が来たら田んぼ手伝わせるとか、家のしきたり守ってもらうとか言うてて、俺一人の問題やったらかまへんけど、街暮らしの女の子が彼女になったら、そんなん、できるやろかて思てる・・・・・・。ようじはどう思う? 」

 すると、そういう事で思てたことがあるんか、すぐに答えを言うた。

「その子次第な所もあるけれど、多分無理だろうな。昔は結婚したら実家に戻ってくることは恥って言われてて、我慢して辛い思いをした人が多いって聞いてるけど、今時、そんな価値観で、若い人縛れると思ってる方が間違い。もし、それでも、浩二の彼女に我慢をさせると言うなら、いくら浩二の事が好きでも、親が二人をダメにすると思う。逆に、気の強い子だったら、浩二の親が我慢を強いられる立場に追いやられるようになると思う。」

「う~ん。それは、あんまりええ事ないということなんかな? 」

「いいことないよ。好きな彼女と結婚したのに、親のいう事を優先するってことは、彼女の事は親の次って事になる。それって、誰のために結婚したのって事になるだろう。それで、彼女は幸せになると思う? 浩二の事を好きになった子を守れるのは浩二だけだぞ。浩二がどうしても家を守りたいって言うなら、それを受け入れてくれる子でないと誰かが不幸になる。凝り固まった考え方をしてる親に、考え方変えろって言うもの無理だろう。だから、親が元気な内は親と離れておくのがお互いの為だと思うよ。」