大根など根采がおいしい季節がやってきた。
池袋時代には、この季節にはよく「スジ大根」をつくった。ストーブの上に鍋を
おいて、牛のスジ肉と大根を、甘醤油で煮る。ただそれだけの料理。
スジからは、アクがでるのでそれをまめにとるのと、大根に味が染みるように、
お米を少し入れて、大根を下茹でする手間が大切。今は圧力なべなどがあるけど、
「ひとてま」と「こつこつ」やるという気持ちが大事なような気がする。
夏に長野の山奥の蕎麦屋で、そばとお酒を所望したら、店主のおばあちゃんが
素敵な酒肴をもってこられた。「これはなんですか?」と聞くと「やたら」
とのこと。間髪をいれずに「めったやたらには、ださない。いい男だけ(ウソ)」
といって笑った。大根の味噌漬け(ぬかみそでもOK)、胡瓜、みょうが、唐辛子適量、を
きざんでまぜる、という簡素な料理。先日の「なんとなく蕎麦を喰う会」では、これを
久保さんの黄瀬戸の片口にいれて、懐石料理のように出した。「めったにはださない。いい女だけバイ」
とはいわなかったけど、食した女子たちの顔が幸せそうだった。今は「懐石」とつくと、高級な日本食
になりさがってしまったが、もともとは座禅をしながら修行する雲水たちが、空腹をがまんするために、
ふところに石を抱えて、耐えたというところからきた「しのぎ」の料理だ。普通の鳥肉を「なんとか鶏」
とか、「なんやら地鶏」とか、牛や豚にも、田舎芸者の厚化粧みたいな名前をつけてアホな客を
喜ばせるのが、おだてられて木に登った、みたいなことが問題になっているけど、どちらも糞味噌、
いや目糞鼻糞みたいな茶番なお話。昔から「簡素なもの」の中にこそ「ほんもの」がある。
今日は「英語で蕎麦会」(19時から 蕎麦会付き3000円 国籍・老若男女中性性別不問)
なかなか上達しないけど、日本人にしかできないような英会話、日本人に生まれてきて
よかったことを伝えられる英会話、みたいなことができるような雰囲気ができてきた。