大正時代の詩人吉井勇が「かにかくに 祇園はこひし 寝るときも 枕の下を 水のながるる」という詩を書いた。
そんな風情は残っていないが、今回は祇園の建仁寺わきの小さな宿に泊まった。茶祖栄西がたてたお寺で
織田流煎茶道の祖・織田有楽が「如庵」という茶室をつくった場所。お座敷のことを「お茶や」といったり、界隈
の提灯に串団子の提灯を掲げてあるのも、そんなことに由来する。
一日目は、好日居の横山晴美さんと夜桜が見えるお店でワインを飲んだ。なんとなく「京都のワインはおいしい・ボリボリ」
みたいな薄っぺらい観光客みたいな感じだったけど、高瀬川の川べりに咲く桜をみがら飲むワインはうまかった。
昨日そういえば織田流煎茶道の同心の後輩たちが珈琲を飲みにこられ、「寒山拾得」のことを質問された。
森鴎外の「高瀬舟」が入っている岩波文庫の短編集に「寒山拾得」というのがある。
「寒山が文殊菩薩の化身で、拾得が普賢菩薩の化身で、そんなことを知らないものは日本人ではない」といいきった
高橋義孝先生はえらかった。お茶の教室でそんな質問されたら、「アホ」とかいいそうだけど、一応お客さんだったので、
丁寧?に説明させてもろうた。
祇園は、世界中の人たちでごったがえしていた。ネットの発達で、しょぼい店でも、なんだか信じられないくらい大混雑している。
「?」な感じがしたけど、今の日本の縮図を見ているような気がした。
次の日は、河原町丸太町を少し上った東側の「東洋亭」で昼ごはんを食べながらビールを飲んだ。学生時代は高嶺の花やった。
なんかほっとした。HPもないし、昔からの「石炭ストーブ」を使って料理をしてはる姿勢が素晴らしい。
今はないけど、御所の東側に立命館があり、そこの最後の学生だったので、界隈にあったジャズ喫茶「シャンクレール」
や「安兵衛」というおでん屋には、学校にいくより出席率がよかった。ふたつとももうないけど、安兵衛で飲んだ伏見
の名誉冠が酒の原点であり、「二十歳の原点」に登場したシャンクレールで初めて聴いたキースジャレットのピアノ
がぼくのジャズの原点。河原町丸太町界隈は、いいで、ほんま。
そのキースジャレットに負けないくらい素敵なピアノを弾く大石学さんから新しいCD「EARTH SONG」が届いた。
500枚限定。昨日は一日中かけていた。在庫は少ないけど、天真庵にあずかってあるので、縁ある人はどうぞ。
今日は16時まで。それから「蕎麦打ち教室」&「なんとなく蕎麦を喰う会」
明日の朝は「卵かけごはん」
夜が「長屋で女史会」