「ひたむき」に生きる、なんていうけど、本気で間違って「したむき」という人が多い。
意味がだいぶ変わってくるけど、なんとなく伝わるからすっと間違ったまんま。
向田邦子さんのエッセーにも「眠る杯」というのがある。彼女自身が荒城の月の
♪・・・めぐる杯 影さして というくだりを、「眠る」と長いこと勘違いしていたらしい。
京都の四条界隈が混雑していたので、寺町を上って市役所の脇を通って歩いていたら
「ギャラリー ひたむき」というのがあり立ち寄った。知っている若手の作家さんの名前もあったりして
「みんなひたむきにがんばっているな」と元気つけられた。そこで「N珈琲」
のことを聞いた。さっそく少しもどって、右入る、のくだんのお店に入る。カウンターが7席だけど、
小さな珈琲屋。茶室のような静謐な空間に掛け花がひとつあり、そこに侘び介が一輪投げ入れてある。
主人はまだ30代におぼしきくらい、わかわかしい。なかなか「いい顔」をしている。ハンサム(半分寒い)でも
なく、キリリと凛とした雰囲気がある。ひたむきの店員さんから聞いてきたことを伝えると、「いつもあのお店の
前を通ってここにきます」とのことだった。ちょっとした会話だけど、無駄もなく珈琲がすすむ。静かに流れて
いるピアノがショパン、というのも、いい。京都にこんなお店がまだある、という安堵感と心がリセットされた
満足な気分で余韻を楽しみながら京都を闊歩することができた。
梶井基次郎の「檸檬」にでてくる主人公が病でふらふらしながら界隈を散策し、
「八百屋」で檸檬を買い・・・という八百屋が最近まで二条寺町にあった。確かそのあと
三条あたりの本屋に向かう、という物語。
今回東京から「大人の修学旅行」にいっしょにでかけた女子たちが、同じ道筋で
散策した報告を聞いてうらしくなった。しかも丸太町東洋亭で昼飯を喰ったらしい。
「京都・観光文化検定」の上級者になれそう。
これから「卵かけごはん」 夜は「長屋で女史会」すばらしい内容の勉強会。
明日は「お仕覆」と「タイムドメイン」。大切な茶器や花器を、縁のある古着などを使って
「つつみこむ」という日本の伝統を紡いできた「お仕覆」。やさしさを広げていける人、
つつみこむような愛情を持った人が活躍する時代がすぐそこにいきている加茂 川?