加茂福酒造の「死神」というのは、島根の銘酒である。
そこの会社の社長が、一度天真庵にきて、蕎麦を手繰っていかれた。
その時に杉浦酒店さんがエンジのTシャツの背中に「死神」とプリントされた「死神Tシャツ」
をくれ、愛用?している。それだと知っているお客さんは「レアもんですね」
と声をかけてくれるけど、まちがえてそれを着たまま電車にのると、混んでる
時もまわりに人がいなくなるし、レジで並んでいると、ぼくの後ろに人がいない、
ということがしばしばある。
昨日は「卒啄珈琲塾」。焙煎の勉強が終わり、約束どおり太田垣蓮月の茶碗で
酒を飲んだ。太田垣蓮月は、和歌や蓮月焼きという焼きものをし、書もいいのを残している。
若冲と同じく、そのよさを見出し、もっている人は外人さん。それが逆輸入されると、普段は
そんなものどこ吹く風の人たちが、美術館に並び、ボリボリしながら蘊蓄を語る。
晩年は、西賀茂村神光院にて隠居した。奇しくも、昨日は加茂つながりで加茂福酒造
の「如雨露」というにごり酒を入れて乾杯した。「じょうろ」という。じめじめする梅雨でも、
こんな酒を飲むと、こころが晴れやかになる。
太田垣蓮月と親交のあった清貧の歌人に「橘曙覧」(たちばなのあけみ)という人がいた。
こんな和歌を残した。ほんとうの「ゆたかさ」は、こんなことではないかしらん。
「たのしみは朝おきいでて 昨日(きのう)まで無かりし花の 咲ける見る時」
夜は「無茶しぃ」だった。池大雅のおくさんで、池玉蘭の掛け軸を掛け、庭に咲いた半夏生を
久保さんの黄瀬戸の花器に投げ入れた。半夏生、「はんげしょう」という。葉っぱの半分がおしろいを
したように白い姿からそう呼ばれるようになった。
今日明日の夜は「インヨガ」。美しくなる、というのも化粧だけではいけません。
体とこころのバランスが大事なのです。