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映画「ビッグショート」に思う、その1 住宅ローン

2016-03-17 15:27:03 | 映画関連
映画「ビッグショート」は金融系の知識がないと難解な映画だった。

かく言う私も学校の教科書程度の知識で、用語は多少わかるが、実務知識はなく
映画の中でみんなが何をそんなに焦っているのか理解しがたい部分もあった。

とはいえ、拙い知識の中で少し整理してみたい。

**

まず、銀行の住宅ローンについて考えてみる。

自分が住む家を建てる、あるいは買う。

代金を即金で一度に払える人はそうはいないだろう。
多くの人は銀行から金を借りて分割で返済する。

借り手の年齢や職業/収入、資産の状況にもよるが、
いざとなれば住宅が担保になるので、貸し手のリスクが少ない。

こうして長期低金利で住宅ローンを貸すことができ、借りることができる。

住宅ローンを借りる人は本当に住む家が欲しくて買う人が大半。
また自分は住まない人でも賃貸するとか、分譲するとか、いずれにせよ住む家。

しかし、中には端から転売目的で家を買う人もいる。
住宅価格、土地価格が上がり続けるとすれば、転売は儲かるというか
儲かるタイミングで売ればいいので、買っておいて損はない。

転売目的の人が多ければ、そしてどんどん増えていけば、
需要が伸び続けるということだから、価格の上昇は続く。

それが需要と供給のバランスによる価格の形成というものだ。

家を買いたい人が大勢いれば、銀行もたくさんローンを提供できる。
金(預金)をどんどん集め、どんどん貸し付ければ、銀行の業績もどんどん上がる。

建築業界も次々と仕事が入って万々歳。
税金がたくさん入って国も嬉しい。
まわりまわって行政サービスも充実する。

まあ、こうなれば経済の好循環というところでしょう。

さて、家を建てたい、買いたい人は地道に働いて、頭金を貯め、
不足分はローンを組む。
そのあとも地道に働いてコツコツとローンを返していく。

自分の財力/資力/経済力に見合った金を借り、相応の家を持ちたい間はそれでいい。

しかし、周りがどんどん立派な家を買っていく。
聞けば頭金なしの低金利、当初何年かはさらに安い金利で借りられる。
今までは手の届かない住宅がちょっと無理すれば手に入る。
欲しくなるよね、家、マイホーム。

住む家を欲しい人だけでなく、上に書いた賃貸や分譲や転売目的の人もたくさんいて、
家の価格もどんどん上がるから、早いうちに買った方がいい。
さらに需要が喚起されるので、銀行もどんどん貸し付けたい、借りてもらいたい。

そのためには、頭金なし、低金利、変動金利、などなど借りてもらいたいから優遇し、
多少資産状況や収入に難があったって審査を甘くしてでも貸し付ける。

いざとなりゃあ、ローンの形(かた)に家を取り上げて転売すりゃあ、損はしない、
それどころか、むしろ儲かる。

こうなると少し状況が変わってきます。

資産や返済能力を超える貸し付けが行われるようになってくる。
顧客は優良顧客とは言い切れず「準優良顧客」となる。

こうして準優良顧客向けローン、サブプライムローンが増えてくる。
自己資金も保有資産もないのに、これから建てる家を担保に金を借りる。

そんなことしてローンが焦げ付かないのか。
いやいや、焦げ付くでしょ、でも担保の住宅を取り上げればいいんだから。
担保価値の上昇が見込めるので、担保の過大評価もされるようになる。

家を買った人の資産も住宅価格の上昇とともに膨れ上がり、パランスシートは好転、
住宅ローンの残債にかかわらず、さらなる借金も可能になる。

中には映画でも出てきたように家を10軒も20件も持つ人が出てきたりする。

しかし、そんなことは永遠には続かない。

住宅価格だって、多少の優遇措置なんかじゃ到底手の届かないところになるし、
優良顧客はもとより、準優良顧客も底をつき始める。

つまり、家を建てたい、買いたい人はもうそれ以上増えず、
住宅価格の値上がりは鈍化し、ついには天井を打つ。

住宅が売れ残れば、あるいは転売できなければ不良在庫。
多少値引きしても売り抜けたほうが良い。
少しずつ価格が下がり始める。

すると、転売しても儲からないどころか、ローンが残ったりする。
元々サブプライムローンの借り手の返済能力は怪しいのがわかっていたけど、
この状態で破綻されてしまうと、銀行はローンが回収できない。
担保の家も貸金に見合わない。
こうしていわゆる不良債権となる。

ここまでなら、銀行が乱脈融資で大量の不良債権を抱えた、ことになるんだろうが、
問題はその先。

まずは、もともとローン融資に貸し付けた金はどこから来たのか、ということ。

住宅価格だって、多少の優遇措置なんかじゃ到底手の届かないところになるし、
優良顧客はもとより、準優良顧客も底をつき始める。

つまり、家を建てたい、買いたい人はもうそれ以上増えず、
住宅価格の値上がりは鈍化し、ついには天井を打つ。

住宅が売れ残れば、あるいは転売できなければ不良在庫。
多少値引きしても売り抜けたほうが良い。
少しずつ価格が下がり始める。

すると、転売しても儲からないどころか、ローンが残ったりする。
元々サブプライムローンの借り手の返済能力は怪しいのがわかっていたけど、
この状態で破綻されてしまうと、銀行はローンが回収できない。
担保の家も貸金に見合わない。
こうしていわゆる不良債権となる。

ここまでなら、銀行が乱脈融資で大量の不良債権を抱えた、ことになるんだろうが、
問題はその先。

まずは、もともとローン融資に貸し付けた金はどこから来たのか、ということ。

銀行だって無限に資金を持っているわけではない。
多額の貸し付けを行う原資は借入金というか、預り金。

住宅ローンを小口に分割してローンの利息の中から配当の回すことで債券化する。
これがモーゲージ証券だ。

モーゲージ証券をバカスカ売って資金を集め、住宅ローンに回す。
モーゲージ証券はつまりは住宅ローンそのものだから、住宅ローンが焦げ付けば、
モーゲージ証券も焦げ付いてしまう。

もっとも投資家保護の観点から簡単にそうならないように、いろいろと規制があるが、
それはそれとして、証券が焦げ付けば投資した人は大損になる。

もしそうなれば、これはこれで大問題だが、問題はさらに波及していく。

(この項続く)
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